有形固定資産の減価償却の基礎知識と仕訳問題!

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有形固定資産を学習する上で、とても重要となってくる論点があります。

それは「減価償却」です。ここでは「減価償却」の基本的な知識についてわかりやすく日商簿記3級出題範囲をもとにご紹介したいと思います。

また、「減価償却」をすることを「決算手続」といい、「決算整理事項」の1つとして扱われます。

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減価償却とは?

建物や機械装置、車両などの有形固定資産は、年々使用しているとどんどん古くなってきて価値が減っていきます。そこで、決算において当期中に生じた価値の減少を見積り、その減少額を「費用」として計上する手続きのことを「減価償却」といいます。

減価償却の手続きによって「費用」計上される金額を「減価償却費(費用)」といいます。

「土地」は減価償却しない!?

  土地は使用することによって価値が減少するという考えがないため、減価償却をしません!

減価償却計算の大切な3つの要素

減価償却の計算は、有形固定資産に「取得原価」「耐用年数」「残存価額」の3つの要素を使って計算します。

~3つの要素の意味~

取得原価有形固定資産の取得にかかった金額(付随費用も含む)
耐用年数有形固定資産の利用可能年数(法定耐用年数)
残存価額耐用年数の期間を使用し終わったときに残っている価値

減価償却の複数の計算方法と2つの記帳方法

複数の計算方法

減価償却費の計算方法は複数あります。「定額法」「定率法」「生産高比例法」などなど、また「定額法」は「旧定額法」と「定額法」の2種類あり、「定率法」には「旧定率法」「250%定率法」「200%定率法」「定率法」と4種類もあります。

ここでは、一番わかりやすい「定額法」についてご紹介したいと思います。

「定額法」とは、その名のとおり、有形固定資産の耐用年数の期間、毎期同額の減価償却費を計上する方法です。

定額法の計算式(期首から保有している場合)

  1年間の減価償却費 = (取得原価 - 残存価額) ÷ 耐用年数

例)定額法 取得価額 1,000,000 残存価額 100,000 耐用年数 5年

  (1,000,000 – 100,000 ) ÷ 5 = 180,000(1年間の減価償却費)

期中取得した有形固定資産の減価償却の計算方法

1年間の減価償却費の計算方法はご紹介した通りですが、期中に取得した有形固定資産については、もうひと工夫必要となります。

その工夫とは、1年間の減価償却費に月割計算(使った月数分だけ計算)をすることです。

定額法の計算式(期中から保有している場合)

 期中取得分の減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数×当期使用月数÷12か月

例)定額法 取得原価 1,000,000 残存価額 100,000 耐用年数 5年 当期使用月 6ヶ月

 (1,000,000 – 100,000)÷ 5年 × 6ヶ月/12ヶ月= 90,000(期中取得分の減価償却費)

2つの記帳方法

減価償却費の記帳方法には、「直接法」と「間接法」の2つがあります。

直接法」とは、減価償却費を計算し借方に計上し、貸方を有形固定資産科目で処理する方法です。

例)建物 1,000,000 減価償却費 180,000 計上方法 直接法

減価償却費  180,000 / 建物 180,000

間接法」とは、減価償却費を計算し借方に計上し、貸方を「減価償却累計額(資産のマイナス)」で処理する方法です。実務では、この「減価償却累計額」の前に有形固定資産の名称を付け区別することもあります

例)建物 1,000,000 減価償却費 180,000 計上方法 間接法

減価償却費  180,000 / 建物減価償却累計額 180,000

減価償却費の仕訳問題

次の決算整理事項に基づいて、決算整理仕訳をしましょう。

使用する勘定科目は「建物、備品、車両、減価償却費、建物減価償却累計額、備品減価償却累計額、車両減価償却累計額」

今期は「×1年4月1日~×2年3月31日」とする。

問1

 当期首に購入した建物100,000円について、定額法により減価償却を行う。(直接法)

 (残存価額は取得価額の10%、耐用年数30年)

減価償却費   3,000 / 建物   3,000

残存価額 100,000×10%=10,000

1年間の減価償却費 (100,000-10,000)÷30年=3,000

問2

 今期の1月1日に購入した備品1,000円について、定額法により減価償却を行う。(間接法)

 (残存価額は 0 円、耐用年数 5年)

減価償却費  50 / 備品減価償却累計額 50

期中の減価償却費(1,000 – 0 ) ÷ 5年 × 3/12 = 50

問3

 前期の2月1日に購入した車両500円について、定額法により減価償却を行う。(間接法)

 (残存価額は取得価額の10%、耐用年数 5年)

減価償却費  90 / 車両減価償却累計額  90

残存価額 500×10%=50

1年間の減価償却費 ( 500 – 50 ) ÷ 5年 = 90

*期中取得は前期の話であるため、月数按分しないよう注意しましょう!

月次決算をしている場合の年次決算の仕訳

通常、決算は1事業年度に1回行いますが、会社に規模によっては1事業年度4回(四半期決算)ごとに行ったり、毎月の財務状態や経営成績を明らかにするために月次決算(毎月決算を行うこと)を行う会社もあります。私の勤めている会社もこの月次決算をしています。

この場合、毎月の減価償却費は1年の減価償却費を見積り、それを12か月で割った金額を計上することになります。

ここでは有形固定資産の「減価償却」についてご紹介しました。有形固定資産には他にも「取得」「売却」「廃棄」などなど多岐にわたる論点があります。下の記事にそれぞれわかりやすくご紹介しておりますのでぜひ読んでみてください。

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