賃貸物件の紹介文は、ポータルサイトや自社サイトへの掲載件数が多いほど作成に時間がかかる業務です。結論として、生成AIは物件情報から紹介文の下書きを作る作業には役立ちますが、宅地建物取引業法が禁じる誇大広告に該当しないよう、事実と異なる表現や根拠のない表現が入り込んでいないかを宅建士が必ず確認する必要があります。
紹介文作成に生成AIを使う場面
間取り、築年数、周辺環境などの物件情報を箇条書きで入力し、「この情報をもとに、賃貸物件の紹介文を作成してください」と指示すると、読みやすい文章の下書きを短時間で作ることができます。同じ物件情報から、ポータルサイト向けの簡潔な文章と自社サイト向けの詳しい文章など、掲載先に応じた複数パターンを作らせることも可能です。
宅建業法上、特に注意すべき点
誇大広告等の禁止(宅建業法第32条)
宅地建物取引業法第32条は、実際のものよりも著しく優良または有利であると人を誤認させるような広告表示を禁じています。生成AIは入力された情報をもとに、読み手を惹きつける表現を加えることがあり、「日当たり良好」「駅近」といった主観的な表現や、確認していない情報を断定的に書いてしまう場合があります。生成AIが作った文章に、実際には確認していない設備や周辺環境の情報が含まれていないか、必ず物件資料と照合してください。
数値・距離表示の正確性
最寄り駅までの所要時間や築年数など、数値を含む表示は特に誤りが許されません。生成AIが物件情報を要約する過程で数値を書き換えてしまうことも起こり得るため、公開前に元の資料と一字一句照合する工程を必ず設けてください。
写真・設備情報の記載
紹介文の中で設備の有無に触れる場合、生成AIが一般的な賃貸物件によくある設備を推測して記載してしまうことがあります。「入力した設備情報以外は記載しないでください」と明確に指示したうえで、公開前に設備表と照合する工程を必ず設けてください。
紹介文作成の活用イメージ
| 掲載先 | 生成AIの使い方 | 確認すべき点 |
| ポータルサイト | 物件情報から簡潔な紹介文を作成 | 数値・設備情報を資料と照合 |
| 自社サイト | 物件の特徴を詳しく紹介する文章を作成 | 主観的な表現が誇大広告にならないか確認 |
| SNS投稿文 | 短い訴求文のパターンを複数作成 | 確認していない情報を断定していないか確認 |
注意点
生成AIが作成した紹介文は、公開前に必ず宅地建物取引士または担当者が物件資料と照合し、事実と異なる記載や、確認できていない情報を断定的に書いている箇所がないかを確認してください。とりわけ日当たり、眺望、周辺環境の評価など主観が入りやすい表現は、誇大広告と受け取られるリスクがあるため慎重な言葉選びが必要です。
なお、物件の紹介文だけでなく内見案内や問い合わせ対応にも生成AIを活用できます。詳しくは不動産仲介の内見案内・問い合わせ対応に生成AIをどう活かすかの記事もあわせてご覧ください。
写真の権利関係
物件写真をSNSやWeb広告に使う際は、撮影者や管理会社との間で使用許諾の範囲をあらかじめ確認してから使用してください。生成AIによる画像の加工や生成を行う場合も、実際の物件と異なる印象を与える加工になっていないか、誇大広告の観点からあわせて確認する必要があります。
契約条件の表記
敷金・礼金・駐車場の有無・ペット可否といった契約条件は、紹介文の中でも特に問い合わせにつながりやすい情報です。生成AIが入力していない条件を補って書いてしまうことがないよう、契約条件は必ず箇条書きで明示的に入力し、生成された文章の該当箇所を管理会社の情報と突き合わせて確認してください。
ポータルサイトごとの表記ルールにも注意
掲載先のポータルサイトには、独自の表記ルールや禁止用語、文字数の上限が定められている場合があります。生成AIが作成した文章がこうしたルールに沿っているかどうかまでは判断できないことが多いため、掲載前にポータルサイトのガイドラインとも突き合わせ、文字数に合わせて重要な情報が削られていないかも確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. 生成AIが作った紹介文はそのまま掲載してよいか。
そのまま掲載せず、宅地建物取引士または担当者が物件資料と照合し、事実と異なる表現や確認できていない情報の断定がないかを必ず確認してから掲載してください。
Q. 生成AIに物件の住所や所有者情報を入力してもよいか。
個人情報にあたる所有者情報などは、業務で利用しているシステムの範囲を超えて外部の生成AIサービスに入力しないよう注意し、紹介文作成に必要な範囲の物件情報にとどめて入力することをおすすめします。
Q. 誇大広告に当たるかどうかはどう判断すればよいか。
実際の物件と比べて著しく優良・有利であると誤認させる表現でないかを基準に判断します。判断に迷う表現がある場合は、宅建業法の広告規制に詳しい担当者や顧問弁護士に確認し、社内で判断に迷った事例を蓄積して共有しておくことをおすすめします。
まとめ
生成AIは賃貸物件の紹介文作成を効率化する道具として活用できますが、宅建業法が禁じる誇大広告に該当しないよう、公開前に必ず物件資料との照合と宅地建物取引士による確認を行うことが欠かせません。数値や設備情報など事実に関わる部分は特に慎重にチェックし、契約条件や写真の権利関係もあわせて確認したうえで公開するようにしましょう。

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