建設現場では、日々の作業内容を記録する日報や、工事着手前に作成する施工計画書など、文章量の多い書類の作成が欠かせません。結論として、生成AIはこうした書類の下書き作成や表現の整理には有効に活用できますが、記載する数値や工程、安全上の記述については、必ず現場責任者が事実と照らし合わせて確認する必要があります。本記事では、日報・施工計画書の作成における生成AIの活用方法と確認すべきポイントを解説します。
日報作成での活用
その日の作業内容、使用した資機材、天候、作業人数などをメモ程度に箇条書きしておき、生成AIに「以下のメモをもとに、現場日報の体裁に整えた文章を作成してください」と依頼すれば、読みやすい報告文に整えることができます。特に複数の作業が同時に進んだ日など、状況を整理して文章化するのに時間がかかる場合には、下書き作成の時短につながります。
プロンプト例
「本日の作業内容は基礎配筋工事、天候は晴れ、作業員は6名、使用機械はバックホウ1台。これらの情報から、現場日報の作業概要欄に記載する文章を200字程度で作成してください」のように、事実情報を具体的に伝えることが精度を高めるポイントです。
日報は現場ごとに書式が異なるほか、元請から特定の項目(安全巡視の結果や近隣への配慮事項など)の記載を求められることもあります。求められている項目をあらかじめ生成AIへの指示に含めておくと、記載漏れの少ない下書きが得られやすくなります。慣れないうちは、完成した文章をそのまま採用せず、必要な項目が過不足なく含まれているかを一つずつ照らし合わせて確認する習慣をつけるとよいでしょう。
施工計画書作成での活用
施工計画書は、工事の施工方法、安全管理体制、使用機械、工程表など多岐にわたる項目を記載する重要な書類です。生成AIには、過去に作成した計画書の構成や、決まった項目の文章表現を整える補助として活用するのが現実的です。例えば「以下の工程の概要から、施工計画書の施工方法欄に記載する説明文を作成してください」といった依頼であれば、文章化の手間を減らせます。ただし、安全対策の具体的な手順や工程の数値については、現場の実情に基づいた情報を担当者が用意したうえで、生成AIにはあくまで文章の整形を担わせる使い方にとどめてください。
| 書類 | 生成AIの主な使いどころ | 担当者が確認すべき点 |
| 現場日報 | 箇条書きメモを報告文の体裁に整える | 作業内容・人数・使用機械が事実と一致しているか |
| 施工計画書 | 決まった項目の説明文を作成 | 安全対策や工程の数値が現場の実情と合っているか |
| 工程表の説明文 | 工程の概要を文章化 | 工期や作業順序に誤りがないか |
注意点、事実と異なる記述に注意
生成AIは、与えられた情報をもとにもっともらしい文章を作成することが得意な一方、情報が不足している部分を推測や一般的な表現で補ってしまうことがあります。日報や施工計画書に、実際には行っていない作業内容や、確認していない安全対策が誤って記載されてしまうと、後の検査や監督署への報告で問題になる可能性があります。生成AIが作成した文章は、必ず現場責任者が実際の作業内容と照らし合わせて確認し、事実と異なる記述がないかをチェックしてから正式な書類として使用してください。
文章作成の正確性を確保するという考え方は製造業の記録作成にも共通しており、製造業の品質管理記録・報告書作成に生成AIを使う際の注意点でも同様の視点から解説しています。
情報管理の注意点
施工計画書には、発注者名や工事場所、契約金額といった取引先情報が含まれる場合があります。こうした情報を外部の生成AIサービスに入力する際は、利用するサービスの入力データの取り扱い方針を事前に確認し、機密性の高い情報は匿名化するか、社内で完結する環境で利用するなどの配慮が必要です。
日報や施工計画書は、後日の検査や監査、トラブル発生時の経緯確認の根拠資料としても使われる重要な書類です。生成AIによる効率化を進める場合も、最終的な記載内容に対する責任は現場責任者にあるという前提を崩さないようにしてください。作成のたびに、事実確認の手順を省略せずに続けることが、書類全体の信頼性を保つことにつながります。
よくある質問
Q. 生成AIで作成した日報をそのまま提出してよいか。
下書きとしての活用は有効ですが、そのまま提出するのは避けてください。実際の作業内容と記載内容に相違がないか、現場責任者が必ず確認したうえで正式な日報として提出するようにしてください。
Q. 施工計画書の安全対策の記述も生成AIに任せられるか。
文章表現の整形には活用できますが、安全対策の具体的な内容は現場の実情に基づいて担当者が判断すべき事項です。生成AIの提案をそのまま採用せず、現場の状況に即した内容かどうかを必ず確認してください。
Q. 発注者情報など機密性の高い内容を生成AIに入力してもよいか。
契約金額や発注者名などの機密情報をそのまま外部サービスに入力することは避けた方が安全です。文章の整形など機密情報を伴わない部分に限定して活用するか、社内で完結する環境を利用することを検討してください。
まとめ
生成AIは、建設現場の日報や施工計画書における文章作成の下書きとして活用できる便利な道具です。一方で、記載する数値や安全対策の内容については、必ず現場責任者が実際の状況と照らし合わせて確認し、事実に基づいた正確な書類を作成することを最優先にしてください。

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