建設業には、工事ごとの原価管理など、一般的な簿記とは異なる独特の会計処理が数多くあります。この記事では、その専門知識を証明する「建設業経理士2級」の内容と、日商簿記・1級との違いを整理します。
建設業経理士とはどのような資格か
建設業経理士は、一般財団法人建設業振興基金が実施する検定で、建設業特有の会計処理(工事原価計算、完成工事高の計上など)に関する知識を認定する資格です。1級〜4級まであり、2級は実務者向けの中核的なレベルとされています。
日商簿記との違い
日商簿記が業種を問わない一般的な会計知識を扱うのに対し、建設業経理士は建設業に特化した会計処理(工事進行基準、原価計算など)を扱う点が違いです。日商簿記2級の知識を土台に、建設業特有の論点を上乗せして学習するのが効率的なルートとされています。
| 項目 | 日商簿記2級 | 建設業経理士2級 |
| 対象業種 | 業種を問わず共通 | 建設業に特化 |
| 主な論点 | 商業簿記・工業簿記全般 | 工事契約・原価計算など建設業特有の処理 |
経営事項審査(経審)での評価
建設業経理士の資格は、公共工事の入札に必要な経営事項審査(経審)における加点項目の1つになっています。1級・2級の資格者を社内に配置することで、審査結果の評価点を高めることができるため、公共工事を受注したい建設会社にとって取得を推進する実務的なメリットがあります。
1級との違い
1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目すべてに合格する必要があり、2級よりも出題範囲が広く、経審での評価点も1級の方が高く設定されています。まず2級を取得し、実務経験を積みながら1級を目指す流れが一般的です。
建設業経理士の試験形式
試験は年2回(3月・9月)実施され、択一問題と計算問題を中心とした筆記試験の形式です。2級では、工事原価計算表の作成や、工事進行基準にもとづく完成工事高の算定など、実際の建設業の経理実務に近い計算問題が出題されるため、単なる暗記ではなく実際に手を動かして計算する練習が欠かせません。
受験地と申込方法
建設業経理士検定試験は全国の主要都市で実施されており、一般財団法人建設業振興基金のウェブサイトから受験申込みを行います。会社として複数名の従業員に受験させる企業も多く、団体申込みの制度が用意されている点も特徴です。
建設業経理士1級のその先
建設業経理士1級を取得した後は、建設業経理の専門家として、経営事項審査対策や資金繰り管理など、より高度な財務面のアドバイスを担う立場を目指すことができます。建設業に強い税理士事務所や会計事務所では、建設業経理士の資格を持つスタッフを積極的に採用する動きも見られます。
建設業の経理担当者に求められる役割
建設業の経理担当者は、通常の会計処理に加えて、工事ごとの原価管理や、公共工事の入札に必要な経営事項審査の書類作成など、建設業特有の業務を幅広く担当します。建設業経理士の知識は、こうした専門的な業務を正確にこなすための土台となり、経理部門の中でも重宝される人材になるための有力な武器です。
簿記知識がない場合の学習ステップ
簿記の知識がまったくない状態から建設業経理士2級を目指す場合は、まず日商簿記3級程度の基礎(仕訳・試算表の作成等)を学んでから、建設業特有の論点に進む方が理解がスムーズです。焦って建設業経理士のテキストから始めるよりも、簿記の基礎を固めることが結果的に近道になるケースが多いとされています。
建設業許可との関係
建設業経理士の資格は、建設業許可の要件そのものではありませんが、経営事項審査における加点評価を通じて、公共工事の入札参加を目指す建設業者にとって間接的に重要な意味を持ちます。許可要件と評価項目の違いを正しく理解しておくことが実務上のポイントです。
Q. 建設業経理士は建設業以外でも役立ちますか?
A. 資格自体は建設業に特化した内容のため、建設業以外での知名度・汎用性は日商簿記に比べて限定的です。
Q. 2級から始めても大丈夫ですか?
A. はい。実務経験がある方であれば2級から挑戦することも可能ですが、簿記の基礎に不安がある場合は日商簿記3級・2級の学習から始めるのもおすすめです。
Q. 建設業経理士2級はどのくらいの学習期間が必要ですか?
A. 日商簿記2級程度の知識がある方であれば、数ヶ月程度の学習で合格を目指せるとされています。
Q. 会社として複数人まとめて申し込むことはできますか?
A. はい。建設業経理士検定試験には団体申込みの制度があり、企業が従業員をまとめて受験させることも可能です。
建設業経理士2級は、建設業特有の会計処理を証明する資格で、経営事項審査の加点項目にもなっています。税理士関連の実務については、別記事「税理士登録にかかる費用はいくら?登録免許税・入会金・年会費の内訳」もあわせてご参照ください。

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