インボイス制度が始まってから2年以上が経ちましたが、経理の現場では今も「取引先から受け取った請求書に記載事項の不備があった」というトラブルが起きています。記載事項に不備があるインボイスは、仕入税額控除の要件を満たさない可能性があるため、経理担当者としては受け取った請求書のチェックポイントを押さえておく必要があります。
適格請求書に必要な記載事項
| 記載事項 | 内容 |
| 発行事業者の氏名・名称、登録番号 | T+13桁の数字からなる適格請求書発行事業者登録番号 |
| 取引年月日 | 課税資産の譲渡等を行った年月日 |
| 取引内容 | 軽減税率の対象品目である場合はその旨も明記 |
| 税率ごとに区分した対価の額・適用税率 | 税抜または税込の合計額を税率ごとに区分して記載 |
| 税率ごとの消費税額等 | 税率ごとに区分した消費税額 |
| 交付を受ける事業者の氏名・名称 | 請求書の宛名 |
よくある記載ミスの具体例
実務でよく見られるミスとしては、登録番号の記載漏れや、既存の請求書フォーマットを使い続けたために登録番号欄自体が存在しないケースがあります。また、軽減税率の対象品目が混在しているのに、税率ごとの区分がされていない、消費税額の端数処理が税率ごとではなく請求書全体でまとめて計算されている、といったケースも見られます。
記載事項に不備があった場合の対応
受け取った請求書に記載事項の不備が見つかった場合、自分(受領者)が請求書を修正することは原則としてできません。発行者(取引先)に連絡し、修正した適格請求書を再発行してもらう必要があります。なお、受領者が自ら追記・修正することは認められていないため、必ず発行者側での再発行を依頼しましょう。
自社が発行する際のチェック体制
自社が適格請求書を発行する立場の場合も、記載事項の不備は取引先の仕入税額控除に影響を与えるため、注意が必要です。請求書発行システムのテンプレートが最新の記載事項要件に対応しているか、登録番号が正しく印字されているか、税率ごとの区分・消費税額の計算が適切かを、定期的にチェックする体制を整えておきましょう。
よくある質問
Q. 登録番号の記載がない請求書を受け取った場合、仕入税額控除はできないのか。
A. 登録番号を含む必要事項が記載されていない場合、原則として適格請求書としての要件を満たさず、仕入税額控除の対象になりません。発行者に連絡し、記載事項を満たした請求書を再発行してもらう必要があります。
Q. 受け取った請求書の誤字を自分で訂正してもよいか。
A. 受領者が請求書の記載内容を自ら修正することは認められていません。誤りがある場合は、必ず発行者に連絡し、修正後の請求書を再発行してもらいましょう。
Q. 取引先が登録番号の記載を忘れた場合、口頭で番号を伝えてもらえば問題ないか。
A. 口頭で伝えられた番号を自社で書き加えることは認められていません。正式な記載事項を満たした請求書として、書面またはデータで再発行してもらう必要があります。
受領側でのチェック体制の構築
記載事項の不備を早期に発見するには、請求書を受け取った時点でのダブルチェック体制が有効です。例えば、経理担当者が最終的に処理する前に、担当部署が登録番号の有無や税率区分の記載を確認するフローを設けておくと、決算直前になって大量の不備が見つかるといった事態を防げます。会計ソフトの中には、登録番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトの情報と自動照合する機能を備えたものもあり、こうしたツールを活用することで、チェックの手間を減らしながら精度を高めることができます。
まとめ
適格請求書の記載事項の不備は、自社の仕入税額控除に直接影響するため、受け取った請求書の内容を都度確認する体制づくりが欠かせません。少額な取引についてはインボイスの保存が不要になる少額特例もあわせて理解しておくと実務がスムーズです。少額特例の内容については、別記事「インボイス制度の「少額特例」とは?1万円未満の課税仕入れで請求書等保存が不要になる経過措置」もご参照ください。

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