年金の繰り下げ受給とは?増額率と税金・社会保険料への影響

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老齢年金は原則65歳から受給が始まりますが、受給開始を66歳以降に遅らせる「繰り下げ受給」を選択すると、年金額を増やすことができます。日本年金機構の情報にもとづき、増額の仕組みと注意すべき点を解説します。

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増額率の計算方法

繰り下げ受給による増額率は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」で計算されます。受給開始を1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増額され、上限である75歳まで繰り下げると、最大84.0%の増額となります。この増額率は、その後一生涯変わりません。

増額率のイメージ

計算式に当てはめると、1年間(12か月)遅らせた場合は0.7%×12か月で8.4%、3年間(36か月)遅らせた場合は0.7%×36か月で25.2%というように、遅らせた期間に比例して増額率が積み上がっていく仕組みです。上限である75歳まで遅らせた場合の月数は120か月であり、0.7%×120か月でちょうど84.0%となります。何歳まで遅らせるかによって増額率が変わるという計算構造を理解しておくと、検討の際にイメージしやすくなります。

繰り下げ受給と税金・社会保険料の関係

年金額が増えると、その分所得税・住民税の計算のもとになる所得金額も増えることになります。また、国民健康保険料(税)や介護保険料は、所得に応じて金額が決まる仕組みであるため、繰り下げ受給によって年金額が増えると、これらの保険料負担も増加する可能性があります。額面の年金額が増えても、税金や社会保険料の増加によって、手取りベースでの増加幅は額面ほど大きくならない点に注意が必要です。

手取りベースで考える際の注意点

繰り下げ受給を検討する際は、増額後の年金額(額面)だけでなく、そこから差し引かれる税金や社会保険料も含めた手取り額で比較する視点が欠かせません。所得税・住民税や国民健康保険料などの負担は、年金以外の収入の有無によっても変わってくるため、自分の状況に応じて手取りベースでどの程度増えるのかを、あらかじめ確認しておくことが望まれます。

配偶者控除や扶養の判定への影響

年金額が増えることで、本人の所得水準が上がり、配偶者控除や扶養親族の判定など、他の税制上・社会保険上の扱いに影響が及ぶ場合もあります。世帯全体でどのような制度を利用しているかによって、繰り下げ受給による年金額の増加が及ぼす影響の範囲は変わってくるため、世帯単位で総合的に確認しておくことが望まれます。

繰り下げ受給を検討する際のポイント

繰り下げ受給が有利かどうかは、何歳まで生きるかによって損益分岐点が変わってきます。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ別々に繰り下げるかどうかを選択できる仕組みになっています。健康状態や他の収入の有無、配偶者の年金受給状況なども踏まえて、総合的に判断することが望まれます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に考える視点

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ独立して繰り下げの有無や時期を選べる仕組みになっているため、たとえば一方は65歳から受け取りを始めて当面の生活費に充て、もう一方は繰り下げて増額を狙うといったように、組み合わせ方を工夫する考え方もあります。どちらをどう選ぶかは、退職後の収入の有無や他の資産の状況などを踏まえて検討するとよいでしょう。

繰り下げ受給の手続きの基本的な流れ

繰り下げ受給を希望する場合は、65歳になった時点で年金の請求をせずに待機し、実際に受給を開始したい時期になってから、年金事務所や街角の年金相談センターで繰下げ請求の手続きを行う流れが一般的です。手続きに必要な書類や持ち物は個々の状況によって異なるため、事前に年金事務所へ問い合わせて確認しておくとスムーズです。

待機期間中に生活費をどう確保するか

繰り下げ受給を選ぶ場合、65歳から実際に受給を開始するまでの間は年金収入がない状態が続くことになります。そのため、待機期間中の生活費をどう確保するかをあらかじめ考えておくことが欠かせません。就労を継続して収入を得る、預貯金でつなぐ、退職金の一部を充てるなど、待機期間の長さに応じた資金計画を立てたうえで検討することが望まれます。

よくある質問

Q. 繰り下げ受給を選んだ後に、やはり早く受け取りたいと思ったら変更できるか。

繰り下げの申出をする前であれば、通常の65歳からの受給に戻すことができます。ただし、いったん繰り下げ受給の請求をした後は、その時点の増額率で受給が確定します。

Q. 繰り下げ待機中に亡くなった場合、増額分は受け取れないのか。

繰り下げ待機中に亡くなった場合、未支給年金として、65歳から死亡までの間の年金額(増額されない本来の金額)を遺族が受け取れる場合があります。制度の詳細は年金事務所への確認が必要です。

Q. 繰り下げ受給をするかどうかは何を基準に考えればよいか。

決まった正解はありませんが、増額後の手取り額の見込み、退職後の他の収入や資産の状況、健康状態、配偶者の年金受給状況などを総合的に踏まえて判断することが一般的です。ねんきんネット等でシミュレーションを行い、複数のパターンを比較してみるとよいでしょう。

まとめ

年金の繰り下げ受給は、月あたり0.7%、最大75歳まで遅らせると84.0%という増額率が生涯続く大きなメリットがある一方、税金や社会保険料の負担増加という側面もあります。老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に検討できる点や、手続きの流れ、待機期間中の生活費の確保も踏まえながら、ねんきん定期便等で自分の年金見込額を確認し、自身のライフプランに合った受給開始時期を検討することが大切です。判断に迷う場合は、年金事務所の窓口やねんきんネットのシミュレーション機能も活用しながら、複数のパターンを比較検討してみるとよいでしょう。

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