消費税の帳簿方式から適格請求書等保存方式への移行、区分記載請求書との違い

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古くから経理業務に携わっているベテラン担当者ほど、「昔は帳簿さえつけていれば仕入税額控除ができた」という感覚が残っていることがあります。消費税の仕入税額控除の要件は、この数十年で段階的に厳格化されてきました。制度の変遷を整理して理解しておくことは、現行のインボイス制度をより深く理解する助けになります。

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帳簿方式の時代

消費税が導入された当初は、一定の事項を記載した帳簿を保存していれば、請求書等の保存がなくても仕入税額控除が認められる「帳簿方式」が採用されていました。その後、帳簿に加えて請求書等の保存も要件とする「請求書等保存方式」に移行しています。

区分記載請求書等保存方式(2019年10月〜2023年9月)

消費税率が10%に引き上げられ、軽減税率(8%)が導入された2019年10月からは、税率ごとに区分して記載した帳簿・請求書等の保存を要件とする「区分記載請求書等保存方式」が採用されました。この方式では、請求書等に「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに区分して合計した対価の額」の記載が必要になりましたが、登録番号の記載までは求められていませんでした。

各方式の違いの整理

方式主な要件適用期間
帳簿方式一定事項を記載した帳簿の保存のみ消費税導入当初
請求書等保存方式帳簿に加え請求書等の保存平成9年4月〜令和元年9月
区分記載請求書等保存方式税率ごとの区分記載を追加令和元年10月〜令和5年9月
適格請求書等保存方式(インボイス制度)登録番号を含む記載事項を満たす適格請求書等の保存令和5年10月〜

経理実務での実感

区分記載請求書等保存方式の時代は、免税事業者からの請求書であっても、記載事項さえ満たしていれば仕入税額控除の対象になっていました。しかし、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入により、登録番号のない請求書は原則として仕入税額控除の対象外となり、免税事業者との取引のあり方そのものを見直す必要が生じました。制度の変遷を理解しておくことで、経過措置の趣旨(激変緩和のための80%控除・50%控除など)もより理解しやすくなります。

よくある質問

Q. 区分記載請求書等保存方式の時代の請求書を、今も保存しておく必要があるか。

A. その取引が行われた課税期間に対応した保存期間(原則7年間)は保存が必要です。過去の請求書だからといって処分してよいわけではありません。

Q. 適格請求書等保存方式になって、帳簿の保存が不要になったわけではないのか。

A. 適格請求書等保存方式でも、帳簿の保存は引き続き仕入税額控除の要件の一つです。帳簿と請求書等の両方を保存する必要があります。

Q. 経過措置(80%控除・50%控除)は今も使えるのか。

A. 免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置は、令和8年9月30日までは80%控除、その後令和11年9月30日までは50%控除と、期間ごとに控除割合が変わる設計になっています。適用する課税期間がどちらにあたるか確認しましょう。

古い取引先マスタ・システム設定の見直し

区分記載請求書等保存方式の時代に構築した取引先マスタや請求書フォーマットを、インボイス制度導入後もそのまま使い続けている会社では、登録番号の記載欄が用意されていない、税率ごとの区分方法が古いままになっているといったケースが見られます。制度の変遷を機に、自社のシステム設定やマスタ情報が現行の要件に対応しているかを、あらためて棚卸ししておくとよいでしょう。

まとめ

消費税の仕入税額控除の要件は、帳簿方式から段階的に厳格化され、現在の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に至っています。制度の変遷を理解することは、経過措置の考え方を理解する助けにもなります。少額な取引の経過措置については、別記事「インボイス制度の「少額特例」とは?1万円未満の課税仕入れで請求書等保存が不要になる経過措置」もあわせてご確認ください。

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