値動きのリスクを抑えて資産を保全したい場合、個人向け国債と定期預金はどちらも選択肢に挙がる代表的な商品です。どちらも元本割れのリスクが低い商品として知られていますが、金利の決まり方や中途換金時の条件には違いがあります。
個人向け国債の特徴
個人向け国債には、金利が半年ごとに見直される「変動10年」、満期まで金利が変わらない「固定5年」「固定3年」の3種類があります。いずれも国が発行する債券であり、最低金利保証(年0.05%)が設けられている点が特徴です。発行から原則1年経過すれば、中途換金することも可能です。
変動10年と固定5年・固定3年の違い
変動10年は市場金利の動向に応じて半年ごとに適用金利が見直されるため、金利が上昇する局面では受け取る利子も増えていく可能性があります。一方、固定5年・固定3年はあらかじめ利率が確定しているため、満期までの利息収入を見通しやすいという特徴があります。将来の金利動向をどう見るか、収入の見通しやすさをどの程度重視するかによって、どのタイプを選ぶかが変わってきます。
中途換金時の取扱い
発行から原則1年が経過すれば中途換金は可能ですが、直前2回分の利子相当額が差し引かれる形で換金されるのが一般的な仕組みです。そのため、短期間で解約することを前提とした資金運用にはあまり向いておらず、当面使う予定のない資金を振り向ける商品として位置づけるのが基本的な考え方です。
定期預金の特徴
定期預金は、預け入れ時に決めた期間、金融機関にお金を預ける商品です。預金保険制度により、1金融機関あたり元本1000万円までとその利息が保護されます。中途解約すると、通常よりも低い中途解約利率が適用され、当初期待していた利息を受け取れなくなるのが一般的です。
預入期間の選び方
定期預金には、数か月程度の短期のものから数年単位の長期のものまで、さまざまな預入期間の商品があります。一般に、預入期間が長いほど適用される金利が高くなる傾向がありますが、その分、資金が長期間拘束されることになります。近い将来に使う予定がある資金かどうかを踏まえて、預入期間を選ぶことが大切です。
| 項目 | 個人向け国債 | 定期預金 |
| 発行体・預入先 | 国(政府) | 民間金融機関等 |
| 保護の仕組み | 国の信用 | 預金保険制度(1000万円まで) |
| 中途換金・解約 | 発行後1年経過で中途換金可能 | 中途解約利率が適用される |
使い分けの考え方
金融機関が破綻した場合のリスクを避けたい場合や、より高い最低金利保証を重視する場合は個人向け国債が選択肢になります。一方、いつでも自由に出し入れしたい資金は普通預金、比較的短期間で確実に必要になる資金は定期預金というように、資金の性質に応じて複数の商品を組み合わせて管理することが一般的です。
資金使途に応じた組み合わせ方
生活防衛資金として、数か月分の生活費はすぐに引き出せる普通預金で確保しつつ、当面使う予定のない余裕資金の一部を個人向け国債や定期預金に振り分けるという考え方が基本になります。使う時期がはっきりしている資金は定期預金や固定タイプの個人向け国債、将来の金利上昇に備えたい資金は変動10年というように、資金の性格ごとに商品を選び分けることで、安全性を保ちながら効率的な資産保全を図りやすくなります。
複数の金融機関に分けて預ける意味
預金保険制度による保護は1金融機関あたり元本1000万円までとその利息が上限となっているため、まとまった資金を1つの金融機関にすべて預けてしまうと、保護の対象外になる部分が生じる可能性があります。これに対して個人向け国債は国が発行する債券であるため、預金保険制度とは異なる形で安全性が確保されています。資金の額や性質に応じて、預け先や商品を分散させることも、資産保全の観点からは有効な考え方です。
購入・預入の単位や手続きの違い
個人向け国債は、証券会社や銀行などの取扱金融機関の窓口やインターネットを通じて購入する仕組みになっており、比較的少額から購入できる商品です。定期預金は、普段利用している銀行の窓口やインターネットバンキングから預け入れるのが一般的で、多くの人にとって手続きのハードルが低いという特徴があります。どちらも手続き自体は難しいものではありませんが、初めて利用する場合は、それぞれの取扱金融機関で必要な手続きを事前に確認しておくとスムーズです。
ライフプランに応じた見直しの視点
資産保全のための商品選びは、一度決めたら見直さないというものではありません。教育資金や住宅購入資金など、将来使う予定のある資金の時期が近づいてきたら、より流動性の高い商品への切り替えを検討する必要が出てきます。逆に、当面使う予定のない資金であれば、個人向け国債の固定タイプなど、比較的長い期間で安定した金利を確保できる商品を選ぶ余地も広がります。家計のライフステージに応じて、定期的に資産配分を見直す姿勢が大切です。
よくある質問
Q. 個人向け国債の利子には税金がかかるか。
かかります。個人向け国債の利子は、他の債券の利子と同様に、源泉分離課税(20.315%)の対象となるのが原則です。
Q. 定期預金より個人向け国債のほうが必ず有利といえるか。
一概には言えません。金利水準は市場環境によって変動し、金融機関の定期預金キャンペーン金利のほうが一時的に高くなることもあります。それぞれの条件を比較して判断することが望まれます。
Q. 個人向け国債は元本割れすることがあるか。
満期まで保有した場合、額面金額が償還されるため、通常は元本割れは生じません。ただし中途換金する場合は、直前の利子相当額が差し引かれるため、受け取る金額が当初の想定より少なくなることがあります。
まとめ
個人向け国債と定期預金は、いずれも元本の安全性が高い商品ですが、保護の仕組みや中途換金の条件、金利の決まり方が異なります。資産保全の目的や資金を使う時期、金利動向の見通しなどを踏まえ、複数の預け先・商品を組み合わせながら、両者を上手に使い分けることが大切です。

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