フリーランス新法と「取適法」は何が違う?企業が対応すべきポイント

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「フリーランス新法」と「取適法(改正下請法)」という2つの言葉を聞いて、違いがよくわからないという企業担当者は少なくありません。どちらもフリーランスや中小事業者との取引を適正化するための法律ですが、施行時期や適用対象、義務の内容には違いがあります。この記事では、両法律の基本的な違いと、業務委託契約を結んでいる企業が確認しておくべき実務対応のポイントを整理します。制度の詳細は今後もガイドラインの改定等により変わる可能性があるため、最新情報は公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の公式サイトで確認してください。

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フリーランス新法と取適法、それぞれの基本

フリーランス新法とは

正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」というフリーランス新法は、2024年11月に施行されました。個人が発注事業者から業務委託を受けて仕事をする際の取引条件を明確にし、就業環境を整備することを目的とした法律です。取引の適正化に関する規定は公正取引委員会と中小企業庁が、就業環境の整備に関する規定は厚生労働省がそれぞれ所管しています。発注事業者の資本金規模を問わず、フリーランス(特定受託事業者)に業務委託をするすべての事業者が対象となる点が特徴です。

取適法(改正下請法)とは

一方、2026年1月1日から施行された「取適法」は、従来の下請代金支払遅延等防止法(下請法)を改正した法律で、略称を「中小受託取引適正化法」といいます。改正法は2025年5月に成立・公布されました。下請法は、資本金基準を満たす親事業者と下請事業者の取引を規制するものでしたが、取適法では資本金基準に加えて従業員数基準が新たに導入され、対象範囲が見直されました。フリーランス(個人事業主)だけでなく、中小企業同士の委託取引も対象に含まれる点が、フリーランス新法との大きな違いです。

フリーランス新法と取適法の違いを整理する

適用対象の違い

フリーランス新法は、業務委託の相手方が「従業員を使用しない個人事業主等」であるフリーランスに限定されます。これに対して取適法は、資本金ではなく従業員数を基準とした中小受託事業者を対象とするため、フリーランスだけでなく、一定規模以下の中小企業に業務委託する取引も対象になり得ます。自社がどちらの法律の対象取引を行っているかは、委託先が個人事業主か法人か、また相手方の従業員数などによって判断が変わるため、取引先ごとに確認が必要です。

義務内容の違いと共通点

両法律に共通するのは、委託内容や報酬額、支払期日などを書面(または電磁的方法)で明示する義務や、報酬の支払期日を給付を受領した日から起算して一定期間内(60日以内)に定める義務が課される点です。禁止行為についても、受領拒否や報酬の減額、返品、買いたたきといった項目が共通して定められています。細かな適用要件や例外規定については両法律で異なる部分があるため、自社の取引がいずれの法律に該当するかを踏まえたうえで、必要な義務を個別に確認することが重要です。

企業が確認しておきたい実務対応のポイント

取引先ごとの適用法律の棚卸し

まず取り組みたいのは、自社が委託している取引先を、フリーランス(個人事業主)、中小受託事業者、それ以外の企業に分類し、それぞれどの法律が適用されるかを整理することです。この棚卸しを行うことで、書面明示や支払期日の管理など、法律ごとに求められる対応の抜け漏れを防ぐことができます。

書面明示・契約書の見直し

委託内容、報酬額、支払期日などの必要事項が、書面または電磁的方法で適切に明示されているかを確認しましょう。2026年1月施行のガイドライン改定により、メールやチャットサービス、電子契約システムなど、電磁的方法として認められる手段が拡充されています。既存の契約書や発注書のフォーマットが、明示すべき項目を網羅しているか、あらためて点検することをおすすめします。

支払期日・社内フローの点検

報酬の支払期日を給付受領日から60日以内とするルールに対応できているか、経理・購買部門の支払いフローを確認しましょう。特に、複数の取引先に対して異なる支払サイトを設定している企業では、フリーランスや中小受託事業者との取引についてのみ、支払期日のルールが異なっていないかを個別にチェックする必要があります。

社内研修・相談窓口の整備

発注担当者が禁止行為に該当する対応を意図せず行ってしまわないよう、社内研修を通じて両法律の基本ルールを周知することも効果的です。また、フリーランスや中小受託事業者からの相談・苦情に対応できる社内窓口を整備しておくことで、トラブルの早期発見・早期是正につなげやすくなります。

違反した場合のリスク

フリーランス新法・取適法のいずれについても、違反が疑われる場合には、公正取引委員会や中小企業庁による報告徴収、助言、指導、勧告といった行政措置の対象となる可能性があります。勧告に従わない場合は事業者名が公表されることもあり、取引先や社会からの信頼低下につながるリスクがある点にも注意が必要です。行政指導の段階であっても、対応の遅れが取引先との関係悪化につながることがあるため、指摘を受けた場合は早期に社内で事実関係を確認し、是正措置を講じる姿勢が求められます。

両法律が併存する取引への対応

発注先の中小受託事業者がフリーランス(特定受託事業者)にも該当する場合、フリーランス新法と取適法の両方の適用対象となり得る取引が生じます。このような場合、原則としてフリーランス新法が優先的に適用される整理となっているため、どちらの法律の義務を満たせばよいか判断に迷う場合は、公正取引委員会や中小企業庁が公表しているQ&Aやガイドラインを確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

物流業界における取扱いにも注意

取適法の改正では、製造業や情報成果物作成、役務提供といった従来型の下請取引に加えて、物流分野における「特定運送委託」も新たに規制対象に加えられました。荷主企業が運送事業者に業務を委託する場合にも、書面明示や支払期日、禁止行為に関するルールが適用される可能性があるため、物流・運送業界と取引のある企業は、自社の委託契約が新たな規制対象に含まれていないか、あらためて確認しておく必要があります。

価格交渉・価格転嫁への対応

取適法では、原材料費や労務費の上昇分を取引価格に反映させるための価格交渉に関するルールも強化されています。受注側から価格転嫁の協議を求められたにもかかわらず、これを無視したり、一方的に先延ばしにしたりする行為は禁止行為に該当する可能性があります。発注側企業は、取引先からのコスト上昇に関する相談に誠実に対応する体制を整えておくことが求められます。

まとめ

フリーランス新法と取適法は、いずれもフリーランスや中小事業者との取引を適正化するための法律ですが、施行時期や適用対象の考え方が異なります。自社の取引先がどちらの法律の対象になるかを整理したうえで、書面明示や支払期日、禁止行為への対応を確認しておくことが重要です。両法律に関する解釈やガイドラインは今後も改定される可能性があるため、実務対応にあたっては、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省が公表する最新情報を確認するようにしてください。

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