育児休業中は社会保険料が免除される一方、住民税については同様の免除制度がないため、「給与が支給されないのに、どうやって住民税を支払えばよいのか」と従業員から質問されることがあります。特別徴収の仕組みと、休業中の切り替え方法を理解しておきましょう。
住民税には社会保険料のような免除制度がない
住民税は前年の所得に対して課される税金であり、育児休業を取得したことによって非課税になったり、免除されたりする制度はありません。会社が毎月の給与から天引きして納付する「特別徴収」という方法を取っている場合、育児休業中で給与の支給がなくなると、天引きの原資がなくなってしまう点への対応が必要になります。
| 対応方法 | 内容 |
| 普通徴収への切替 | 休業期間中は特別徴収を停止し、本人が納付書で直接納付する方法に切り替える |
| 一括徴収 | 休業前の最後の給与や賞与から、休業中の分もまとめて天引きする |
| 休業中も個別に振込み | 会社が毎月本人に請求し、本人が会社へ振込む形で立て替えを避ける |
特別徴収から普通徴収への切替手続き
育児休業により長期間給与の支給がなくなる場合、会社は市区町村に対して「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出し、特別徴収を停止して普通徴収へ切り替える手続きを行うことができます。切り替え後は、本人に送付される納付書にもとづき、本人が直接市区町村へ住民税を納付することになります。復職後は、再び特別徴収に戻す手続きが必要です。
従業員への案内で気をつけたいこと
住民税の支払い方法が変わることを事前に知らされていないと、育休中に突然納付書が届いて戸惑う従業員も少なくありません。育児休業の取得を申し出た際に、社会保険料の免除の説明とあわせて、住民税は別途の対応が必要であることを説明しておくと、従業員が資金繰りの見通しを立てやすくなります。
よくある質問
Q. 育児休業中に普通徴収に切り替えず、そのまま放置するとどうなるか。
A. 特別徴収の対象のまま給与から天引きできない状態が続くと、税額を正しく徴収できず、後日まとめて精算が必要になるなど、事務が煩雑になります。早めに市区町村への手続きを行うことが望まれます。
Q. 住民税は前年の所得にもとづくため、育休中は税額が変わらないのか。
A. その年度(6月から翌年5月まで)の税額は、前年の所得にもとづいて既に決定されているため、育休中であっても税額そのものは変わりません。翌年度以降、育休期間中の所得が減ったことが反映され、税額が下がることがあります。
Q. 復職時には自動的に特別徴収に戻るのか。
A. 自動的に戻るわけではなく、会社が市区町村に対してあらためて特別徴収への切替の手続きを行う必要があります。復職のタイミングにあわせて手続きを忘れないよう管理することが重要です。
まとめ
育児休業から復帰した後は、時短勤務にともなう給与や社会保険料の変化にも注意が必要です。あわせて別記事「育児休業から復帰後の時短勤務、給与が下がった場合の社会保険料の激変緩和措置」もご確認ください。

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