親会社が子会社の赤字を補填するために資金を援助した場合、単純に寄附金として処理してよいのでしょうか。100%の資本関係にあるグループ会社間の取引では、通常の寄附金とは異なる「グループ法人税制」の考え方が適用されます。
グループ法人税制とは
グループ法人税制は、完全支配関係(原則として100%の資本関係)にある法人グループ内の一定の取引について、税務上、特別な取り扱いを定めた制度です。資産の譲渡損益の繰延べや、寄附金・受贈益の取り扱いなどが対象となります。
寄附金と受贈益の取り扱い
| 当事者 | 取り扱い |
| 寄附をした法人 | 支出した寄附金の全額が損金不算入 |
| 寄附を受けた法人 | 受け取った受贈益の全額が益金不算入 |
完全支配関係にある内国法人間で寄附金の授受が行われた場合、寄附をした法人ではその全額が損金不算入となり、寄附を受けた法人ではその全額が益金不算入となります。これは、通常の寄附金のように損金算入限度額の計算を行うのではなく、グループ内の資金移動として、課税関係を生じさせないようにする趣旨の制度です。
実務上の注意点
この取り扱いは、あくまで完全支配関係(原則100%)にある法人間の取引が対象です。90%や95%といった、完全ではない資本関係の場合は対象外となり、通常の寄附金・受贈益の取り扱い(損金算入限度額の計算等)が適用されるため、資本関係の正確な把握が欠かせません。親会社が子会社を支援する際、その支援が「寄附金」に該当するのか、それとも「債権放棄」「増資」など別の性質を持つ取引なのかによっても、税務上の取り扱いが変わってくるため、実行前に税理士に相談することが望まれます。
よくある質問
Q. 兄弟会社間(親会社を通じて完全支配関係にある会社同士)の寄附金も対象になるか。
A. 同一の者による完全支配関係がある場合、兄弟会社間の取引もグループ法人税制の対象になり得ます。資本関係図を整理して確認する必要があります。
Q. 寄附金の授受があったこと自体を、会計上どのように記録すればよいか。
A. 会計上は寄附金・受贈益として計上したうえで、税務申告書上で加算・減算調整(申告調整)を行うのが一般的な処理です。
Q. 個人株主が保有する会社同士でも、グループ法人税制の対象になるか。
A. 個人及びその近親者等による完全支配関係がある場合も対象になり得ます。判定は複雑になるため、税理士に確認することをおすすめします。
資産の譲渡取引への影響もあわせて確認
グループ法人税制は、寄附金・受贈益だけでなく、完全支配関係にある法人間で一定の資産(譲渡損益調整資産)を譲渡した場合の譲渡損益についても、その資産がグループ外に移転するまで繰り延べる処理を求めています。グループ内で不動産や有価証券などを移動させる計画がある場合は、寄附金の取り扱いとあわせて、この譲渡損益の繰延べについても確認しておくことが望まれます。
まとめ
グループ法人税制における寄附金・受贈益の取り扱いは、通常の寄附金とは異なる特別なルールが適用されるため、グループ会社間の資金支援を行う際は事前の確認が欠かせません。グループ全体の申告制度については、別記事「グループ通算制度とは?連結納税制度との違いと経理実務への影響」もあわせてご確認ください。

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