人事担当者がAIを業務に使うと違法になり得るケースとは?労務トラブルの防ぎ方

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人事担当者が採用選考や人事評価、労務相談対応などの場面で生成AIを利用する際には、個人情報保護、差別的な取扱いの禁止、評価結果に対する説明責任といった観点から、使い方を誤ると法的なリスクを招きかねないと専門家から指摘されている。生成AIの利用自体を一律に避けるのではなく、どのような場面でどこまで使ってよいかを整理したうえで運用することが、労務トラブルを防ぐうえで重要になる。

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人事領域での生成AI活用が広がる背景

採用選考での応募書類の一次チェック、人事評価コメントの下書き作成、労務相談への一次対応など、人事・労務の幅広い場面で生成AIの活用が進んでいる。定型的な文章作成や大量の情報整理を効率化できる点が評価される一方、個人情報や評価といったセンシティブな情報を扱う領域であるだけに、利用方法を誤ると想定していなかったトラブルにつながる可能性がある。

生成AIの活用が急速に広がったことで、社内でのルール整備が追いつかないまま担当者個人の判断で利用が進んでしまうケースも見られる。人事領域は特に、個人情報保護法や労働関係の法令が関わる場面が多いため、他部署以上に慎重な運用ルールの整備が求められる分野といえる。

違法・法的リスクとなり得る主なケース

個人情報保護の観点からのリスク

応募者や従業員の氏名、経歴、評価内容といった個人情報を外部の生成AIサービスに入力する場合、そのサービスの利用規約やデータの取り扱いによっては、意図せず第三者提供や目的外利用にあたるおそれがあると指摘されている。個人情報を含むデータを生成AIに入力する前に、利用するサービスのデータの取り扱い方針を確認し、必要に応じて情報を匿名化するなどの対応が求められる。

差別的な取扱いにつながるリスク

採用選考や人事評価に生成AIを活用する際、学習データやプロンプトの設計次第では、特定の属性を持つ応募者・従業員に対して不利な判断結果が出やすくなるリスクが指摘されている。生成AIの出力結果をそのまま合否判定や評価結果として採用するのではなく、最終的な判断は人が行い、差別的な取扱いにつながっていないかを確認する体制が必要になる。特に、生成AIに応募者の属性に関わる情報まで入力してスクリーニングさせるような使い方は、意図せず不合理な選別につながるおそれがあるため、慎重に検討すべきである。

説明責任を果たせないリスク

採用や評価の結果について、応募者や従業員から理由の説明を求められた場合に、生成AIがそう判断したためという説明では、十分な説明責任を果たしたことにならないと考えられる。生成AIの出力はあくまで判断材料の一つとして位置づけ、最終的な判断根拠を人が説明できる状態にしておく必要がある。

人事評価コメント作成での注意点

人事評価のコメントを生成AIに作成させる場合、実際には確認していない事実に基づいた評価コメントが生成されてしまったり、複数の従業員に対して画一的で個別性の薄い表現が使われることで、評価される側から不公平感を持たれたりするリスクがあると社労士等の専門家から指摘されている。この点については、別記事「人事評価コメントを生成AIで作成する際の法的リスクとは?社労士が指摘する注意点」でも詳しく解説している。評価コメントの土台となる事実やエピソードは評価者自身が把握している内容に基づいて入力し、生成AIにはあくまで文章表現の整理を任せるという役割分担が望ましい。

リスク領域と対策の整理

リスク領域起こり得る問題対策の方向性
個人情報保護個人情報の意図しない外部提供・目的外利用入力前の匿名化、利用サービスの規約確認
差別的取扱い特定属性への不利な判断結果AI出力を最終判断とせず人が確認
説明責任評価・選考理由を説明できない判断根拠を人が把握・説明できる運用
評価コメントの正確性事実に基づかない評価、画一的な表現評価者自身が把握する事実をもとに入力

よくある質問

Q.採用選考に生成AIを使うこと自体が違法になるか。

生成AIを採用選考の一部で活用すること自体が直ちに違法となるわけではない。ただし、応募者の個人情報の取り扱い方や、選考結果に生成AIの判断をそのまま反映させる運用の仕方によっては、個人情報保護や差別的取扱いの観点から問題が生じ得ると指摘されている。生成AIの出力を参考情報として扱い、最終判断は人が行う運用にすることが望ましい。

Q.従業員の評価データを生成AIに入力してもよいか。

評価データには個人情報や機微な情報が含まれるため、外部の生成AIサービスに入力する場合は、そのサービスがデータをどのように取り扱うかを事前に確認する必要がある。社内の情報管理ルールで生成AIへの入力可否や入力してよい情報の範囲を定めたうえで運用することが望ましい。

Q.人事担当者が生成AIの利用について研修を受ける必要はあるか。

個人情報保護や差別的取扱いに関するリスクを理解せずに生成AIを利用すると、意図せず法的な問題を招くおそれがあるため、人事担当者が生成AIを利用する際の注意点について、社内でルールを整備したり研修を行ったりすることは有効な対応のひとつと考えられる。

まとめ

人事担当者が生成AIを業務に取り入れる際は、個人情報保護、差別的取扱いの防止、説明責任の確保という3つの観点から利用方法を点検することが重要である。特に人事評価コメントの作成では、事実に基づかない評価や画一的な表現によって従業員の不公平感を招かないよう、生成AIの役割をあくまで文章整理の補助にとどめ、評価の実質的な判断は評価者自身が担う運用を徹底したい。

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