社会保険労務士試験(社労士試験)の受験対策の中でも、多くの受験生が直前期に頭を悩ませるのが「法改正対策」です。社労士試験は労働基準法や社会保険関係の法律を扱う試験であるだけに、毎年のように行われる法改正が出題に反映されやすく、特に選択式試験では、改正された条文の数字やキーワードが空欄になって出題される傾向があります。令和8年度(第58回)試験に向けても、社会保険の適用拡大や労務管理に関わる複数の改正が話題になっています。この記事では、社労士試験における法改正対策の考え方と、押さえておきたい代表的なテーマを整理します。試験対策の詳細は年度によって変わるため、最終的には必ず受験予備校や社会保険労務士試験オフィシャルサイトなど、最新の一次情報で確認するようにしてください。
社労士試験における法改正対策の考え方
なぜ法改正が重要視されるのか
社労士試験は、その年の4月1日時点で施行されている法令を基準に出題される、という運用が基本とされています。そのため、試験前年から当該年度の春先にかけて成立・施行された法改正は、特に狙われやすいテーマになります。出題者側からすると、法改正は「受験生が本当に最新の情報を勉強しているか」を確認しやすいポイントであるため、選択式試験の空欄補充問題として狙われやすい傾向があるといわれています。
択一式と選択式で問われ方が異なる
択一式試験では、改正前後の制度の違いを正しく理解しているかを問う出題が中心になりやすいのに対し、選択式試験では、改正条文に出てくる具体的な数字や専門用語がそのまま空欄になるケースが目立ちます。したがって、法改正対策としては「制度の内容を理解する」ことに加えて、「施行日」「対象となる数字(金額・日数・割合など)」「制度の正式名称」を正確に覚えることが重要になります。
令和8年度試験で注目されている改正テーマ
以下は、令和8年度試験に向けて多くの受験対策サイトや予備校が取り上げている代表的なテーマです。改正の詳細や施行時期は今後の政省令等で確定する部分もあるため、あくまで学習の切り口として参考にし、最終的な内容は公式情報で確認してください。
社会保険の適用拡大(年収の壁関連)
短時間労働者に対する社会保険の適用要件のうち、賃金要件(いわゆる106万円の壁)の撤廃が2026年10月から予定されています。適用対象となる要件がどう変わるのか、施行時期はいつか、企業規模要件との関係はどうなっているかは、選択式・択一式のどちらでも狙われやすいテーマと考えられます。
社会保険労務士法の改正(労務監査の明記など)
社会保険労務士法の改正により、労務監査が社労士の業務として明記されたことが話題になっています。労務監査とは、労働時間管理や社会保険の加入状況、就業規則・労働契約の内容などが法令に沿って運用されているかを確認する業務です。社労士自身の業務範囲に関わる改正であるため、実務家としても受験生としても押さえておきたいポイントです。
カスタマーハラスメント対策の事業主義務
顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応を、事業主の措置義務として位置づける法改正の動きも進んでいます。パワーハラスメント防止措置と並んで、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の一つとして出題されやすいテーマです。
フリーランス・事業者間取引の適正化に関する法律
フリーランスに業務委託を行う事業者に対して、書面等による取引条件の明示義務や報酬の支払期日、禁止行為などを定めた法律の運用も広がりを見せています。労働者ではなくフリーランスを対象とした法律である点が、労働基準法などと混同しやすいポイントとして出題されることが想定されます。
直前期の法改正対策の進め方
予備校の法改正講座・まとめ資料を活用する
独学で最新の法改正をすべて追いかけるのは、労力の面でも情報の正確性の面でも難易度が高い作業です。多くの受験予備校では、試験範囲となる法改正だけを整理した講座や冊子を提供しているため、直前期にはこうした教材を軸に学習を進めるのが効率的です。
「数字」と「施行日」をセットで覚える
選択式対策としては、改正内容そのものだけでなく、「いつから施行されたか(令和7年なのか令和8年なのか)」「対象となる従業員規模や金額は何人・何円か」といった数字情報を、表などにまとめて整理しておくと本番で思い出しやすくなります。
一般常識科目とのつながりを意識する
法改正のテーマは、労働に関する一般常識・社会保険に関する一般常識といった科目と関連することが多くあります。個別の法改正を単体で覚えるのではなく、社会全体でどのような課題を背景にその改正が行われたのかという文脈まで理解しておくと、一般常識科目の対策にもつながります。
独学受験生が陥りやすい落とし穴
情報源が古いテキストのままになっている
社労士試験の受験勉強では、市販のテキストや問題集を繰り返し解くことが基本になりますが、テキストの改訂タイミングによっては、直近の法改正が反映されていないことがあります。特に、前年度版のテキストを中古で購入した場合や、先輩から譲り受けた教材をそのまま使っている場合は、法改正前の情報のまま学習してしまうリスクがあるため注意が必要です。学習の後半では、最新版のテキストや法改正対策講座で情報をアップデートする工程を必ず組み込むようにしましょう。
改正の「背景」を飛ばして数字だけ暗記してしまう
直前期は時間が限られているため、つい数字や施行日だけを機械的に暗記してしまいがちです。しかし、なぜその改正が行われたのかという社会的背景を理解しておくと、多少ひねった聞かれ方をされても対応しやすくなります。たとえば年収の壁に関する改正であれば、少子高齢化に伴う働き方の多様化や、パート労働者の年金権の充実といった政策的な背景を押さえておくと、関連する一般常識科目の問題にも応用がききやすくなります。
学習スケジュールの立て方
法改正対策は、試験直前期に一気に詰め込むよりも、春先の法改正情報が出そろうタイミング(多くの場合4月から5月頃)で一度全体像を把握し、その後、模擬試験や答練を通じて繰り返し復習する進め方が効果的とされています。予備校の法改正講座は、この「全体像の把握」と「反復」の両方をカバーできるように設計されていることが多いため、独学に不安がある方は活用を検討してみるとよいでしょう。
模試や答練を法改正対策の総仕上げに使う
法改正の知識は、テキストを読むだけではなかなか定着しません。多くの予備校が実施する模擬試験や答練には、その年度の法改正を反映した問題が盛り込まれていることが多く、実際の出題形式に近い形でアウトプットの練習ができます。間違えた問題は、単に正解を覚え直すだけでなく、「どの法律の、どの改正に関する問題だったか」をテキストに立ち返って確認する習慣をつけると、記憶の定着率が高まります。
まとめ
社労士試験における法改正対策は、試験範囲の広さゆえに独学だけでは対応しきれない部分が多いテーマです。令和8年度試験に向けては、社会保険の適用拡大、社会保険労務士法の改正、カスタマーハラスメント対策、フリーランス保護に関する法律などが注目されていますが、詳細な出題範囲や施行時期は必ず社会保険労務士試験オフィシャルサイトや受験予備校の最新情報で確認しましょう。「制度の背景を理解する」ことと「数字・施行日を正確に覚える」ことの両方を意識しながら、直前期の学習を計画的に進めていくことが合格への近道です。

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