2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金は、全国の都道府県で答申が出そろい、10月以降、各県で異なる時期に順次発効する見通しです。この記事では、東海・北陸地方の7県(富山・石川・福井・岐阜・静岡・愛知・三重)を対象に、2026年度の答申額や引き上げ幅、発効予定日をまとめて解説します。自動車関連産業をはじめ製造業が集積する地域であり、パート・アルバイトの時給水準にも影響が大きいエリアです。掲載している金額は記事作成時点(2026年9月)の答申額であり、正式決定・官報公示前の情報である点にご留意ください。
東海・北陸地方の最低賃金改定の特徴
愛知県はAランク、その他はB・Cランクが中心
東海・北陸地方では、愛知県がAランクに区分されており、2026年度の目安である54円に対して、愛知県は目安を1円上回る+55円の答申となりました。一方、富山・石川・福井・岐阜・静岡・三重の各県はB・Cランクに区分されており、目安の56円前後、あるいはそれを上回る引き上げとなった県が多く見られます。
石川県・福井県は目安を大きく上回る答申に
北陸地方の石川県・福井県は、いずれも目安を3円上回る+59円の答申となっており、東海・北陸地方の中でも引き上げ幅が大きい県となっています。地域の物価動向や人手不足感を踏まえ、目安を上回る答申を行う地方審議会が全国的に多かったことが、2026年度改定の特徴の一つといえます。
東海・北陸7県の最低賃金一覧
以下は、東海・北陸地方7県における2025年度(令和7年度)の現行額と、2026年度(令和8年度)の答申額、引き上げ額、発効予定日をまとめたものです(記事作成時点の答申情報にもとづきます)。
| 県 | 2025年度額 | 2026年度答申額 | 引上額 | 発効予定日 |
| 富山県 | 1,062円 | 1,119円 | +57円 | 10月1日 |
| 石川県 | 1,054円 | 1,113円 | +59円 | 10月3日 |
| 福井県 | 1,053円 | 1,112円 | +59円 | 10月4日 |
| 岐阜県 | 1,065円 | 1,121円 | +56円 | 10月1日 |
| 静岡県 | 1,097円 | 1,154円 | +57円 | 10月15日 |
| 愛知県 | 1,140円 | 1,195円 | +55円 | 10月1日 |
| 三重県 | 1,087円 | 1,143円 | +56円 | 10月1日 |
愛知県は関東の主要都県に匹敵する水準
愛知県の2026年度答申額は1,195円で、これは千葉県・埼玉県とほぼ並ぶ水準です。東海地方の中では突出して高く、製造業を中心に県外からの人材確保を進める企業にとっても、無視できない水準になっています。
静岡県は10月15日発効で県内では最も遅め
東海・北陸7県の中では、富山・岐阜・愛知・三重の4県が10月1日発効の予定である一方、静岡県は10月15日、石川県は10月3日、福井県は10月4日と、県によって発効日にばらつきがあります。特に静岡県は7県の中で最も遅い発効日となっているため、県内に複数の事業所を持つ企業は注意が必要です。
製造業を中心とした実務上のポイント
交代制勤務・深夜勤務のある職場での確認
製造業が集積する東海・北陸地方では、交代制勤務や深夜勤務を行う職場も多く見られます。最低賃金の比較にあたっては、深夜労働手当や時間外労働手当などは対象から除外されるため、基本給や諸手当のうち、最低賃金の対象となる賃金部分を正しく切り分けたうえで、新しい最低賃金額を満たしているかどうかを確認する必要があります。
派遣労働者は派遣先の最低賃金が適用される
東海地方は製造業への労働者派遣も多い地域です。派遣労働者については、派遣元ではなく派遣先の事業所が所在する都道府県の最低賃金が適用されるため、複数の県に派遣先がある場合は、それぞれの県の発効日・金額を派遣元・派遣先の双方で確認しておくことが重要です。
特定最低賃金との関係にも注意
地域別最低賃金と特定最低賃金の違い
東海・北陸地方には、自動車製造業や電子機械器具製造業など、特定の産業について、地域別最低賃金とは別に「特定最低賃金」が定められている業種があります。特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い金額に設定されていることが多く、両方が適用される場合は、高い方の金額が優先されます。
自社の業種が対象かどうかを確認する
特定最低賃金の対象業種や金額は、都道府県ごとに異なります。製造業を営む企業は、自社の業種が特定最低賃金の対象になっていないか、地域別最低賃金の改定にあわせて、あらためて確認しておくとよいでしょう。詳細は、各都道府県労働局のホームページで確認できます。
答申段階の情報である点を踏まえた対応
本記事で紹介した東海・北陸7県の金額は、記事作成時点における答申額です。今後、異議申し出などの手続きを経て正式決定・官報公示されるまでは、金額が変更される可能性もゼロではありません。給与規程の改定や求人票の作成にあたっては、正式決定の発表もあわせて確認することをおすすめします。
まとめ
東海・北陸地方の7県では、2026年度の最低賃金についていずれも答申が出そろい、愛知県の1,195円を筆頭に、地域全体で56円から59円程度の引き上げとなる見込みです。発効予定日は10月1日が中心ですが、静岡県の10月15日など県によって差があるため、事業所ごとの確認が欠かせません。答申された金額は今後の正式決定・官報公示で確定するため、最新情報を各県労働局の公式発表で確認することをおすすめします。

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