行政書士業務における生成AIの活用、書類作成の下書きとしてどこまで使えるか

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許認可申請書類や契約書の作成を数多くこなす行政書士にとって、生成AIによる文章作成支援は魅力的に映ります。一方で、行政書士法上の独占業務との関係を理解せずに使うと、思わぬトラブルにつながりかねません。

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生成AIが役立つ場面

定型的な案内文書や説明資料の下書き作成、過去に作成した書類のフォーマット整理、条文や制度の一般的な解説文の作成などは、生成AIが比較的得意とする分野です。また、依頼者向けに手続きの流れをわかりやすく説明する資料のたたき台を作る際にも活用しやすいでしょう。

独占業務との関係で注意すべき点

場面注意点
許認可申請書類の作成行政書士法上の独占業務であり、生成AIの出力をそのまま提出書類とすることは許されない
契約書・権利義務に関する書類個別の事実関係に応じた検討が必要であり、AIの一般論をそのまま使うと実情に合わない内容になりやすい
依頼者への説明生成AIの回答を根拠として説明する場合も、最終的な説明責任は行政書士本人が負う

行政書士法1条の2では、官公署に提出する書類の作成等が行政書士の業務として定められています。生成AIはあくまで下書きの作成やアイデア出しの補助として位置づけ、最終的な書類の内容確認・作成責任は行政書士自身が負うという整理を崩さないことが重要です。

依頼者の個人情報を扱う際の注意

許認可申請や契約書作成では、依頼者の氏名・住所・事業内容など機微な情報を扱う場面が多くあります。無料の生成AIサービスの中には、入力内容がサービス改善のための学習に利用される設定になっているものもあるため、業務で利用する際は法人向けプランやオプトアウト設定の有無を確認し、依頼者の同意なく機微な情報を安易に入力しないよう注意する必要があります。

よくある質問

Q. 生成AIで作成した契約書のひな形をそのまま依頼者に提供してよいか。

A. 個別の事情に応じた検討をせずにそのまま提供することは避けるべきです。行政書士としての知見にもとづき、依頼者の実情に合わせて内容を精査したうえで提供する必要があります。

Q. 生成AIを使うことを依頼者に説明する義務はあるか。

A. 現時点で法令上の明確な開示義務は定められていませんが、依頼者との信頼関係の観点から、業務でAIを活用している旨を丁寧に説明する事務所も増えています。

Q. 生成AIの回答をもとに許認可の要件を判断してもよいか。

A. 許認可の要件は個別の制度・自治体の運用によって細部が異なることが多いため、生成AIの一般的な回答だけで判断せず、必ず該当する法令・所管窓口の情報で裏付けを取る必要があります。

事務所での運用ルールづくり

複数の担当者がいる事務所では、生成AIをどの業務でどこまで使ってよいかについて、所内で共通認識を持っておくことが望まれます。依頼者の個人情報を含む内容は入力しない、生成された文面は必ず行政書士本人が確認してから使用する、といった基本ルールを明文化しておくと、担当者ごとの対応のばらつきを防ぐことができます。

まとめ

行政書士業務における生成AIの活用は、下書き作成や情報整理といった補助的な場面にとどめ、独占業務にあたる書類の最終的な作成・確認は行政書士自身が担うという原則を守ることが重要です。秘密保持義務との関係については、別記事「行政書士が生成AIを利用する際の秘密保持義務、行政書士法12条との関係」もあわせてご確認ください。

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