賞与の支給が近づくたびに、「賞与から控除する社会保険料はどう計算すればよいのか」と確認に追われる担当者も多いのではないでしょうか。毎月の給与とは異なる「標準賞与額」という考え方にもとづいて計算する必要があるため、基本の仕組みを整理します。
賞与にかかる社会保険料の考え方
賞与にかかる健康保険・厚生年金保険の保険料は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、それぞれの保険料率を掛けて計算します。毎月の給与のように標準報酬月額の等級表を用いるのではなく、実際に支給された賞与額(税引き前の総支給額)そのものをもとに計算する点が、月々の給与計算との大きな違いです。
| 項目 | 内容 |
| 標準賞与額の考え方 | 賞与総支給額から1,000円未満を切り捨てた額 |
| 厚生年金保険料の上限 | 1か月あたり150万円が標準賞与額の上限(同一月に複数回支給された場合は合算) |
| 健康保険料の上限 | 年度累計573万円が標準賞与額の上限(毎年度累計で管理) |
賞与支払届の提出
賞与を支給した場合、支給日から5日以内に「賞与支払届」を年金事務所(健康保険組合に加入している場合は組合にも)へ提出する必要があります。提出が遅れると、保険料の計算や納付にも影響するため、賞与の支給スケジュールにあわせて、届出の準備を早めに進めておくことが重要です。
雇用保険料の計算は給与と同じ考え方
雇用保険料については、賞与も「賃金」として扱われ、月々の給与と同様に、支給額に雇用保険料率を掛けて計算します。健康保険・厚生年金保険のように上限額が設定されているわけではなく、賞与額に応じてそのまま保険料が計算される点が、社会保険料との違いです。
給与計算ソフトの設定を確認しておく
賞与の社会保険料は、月々の給与とは別枠で計算する仕組みになっているため、給与計算ソフトによっては、賞与計算用のモードを別途選択する必要がある場合があります。標準賞与額の上限が正しく設定されているか、賞与支払届の提出対象者リストが最新の従業員名簿と一致しているかを、支給のたびに確認しておくと、届出漏れや計算誤りを防ぎやすくなります。
よくある質問
Q. 年3回を超えて支給される賞与は、社会保険料の計算上どう扱われるか。
A. 年4回以上支給される賞与は、社会保険上は「賞与」ではなく毎月の報酬(給与)の一部として扱われ、標準報酬月額の算定に含めることとされています。回数の数え方に注意が必要です。
Q. 退職月に支給した賞与にも社会保険料はかかるか。
A. 資格喪失日の前日までに支給された賞与であれば、原則として社会保険料の対象になります。ただし、資格喪失後に支給された賞与の扱いについては個別の確認が必要です。
Q. 標準賞与額の上限を超えた場合、超えた部分の保険料はどうなるか。
A. 上限額を超える部分については、その分の保険料は発生しません。厚生年金保険料は月150万円、健康保険料は年度累計573万円を超える部分が対象外となります。
まとめ
賞与だけでなく、通勤手当が標準報酬月額の計算にどう影響するかも、給与計算担当者が押さえておきたいポイントです。あわせて別記事「通勤手当は社会保険料の計算に含まれる?標準報酬月額への算入ルール」もご確認ください。

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