国民年金の第1号被保険者である自営業者やフリーランスは、会社員と異なり厚生年金がないため、老後の年金額が相対的に少なくなりやすいという特徴があります。この上乗せ制度として代表的なのが、国民年金基金とiDeCoです。両者は掛金の上限を共有しており、それぞれの仕組みを理解したうえで配分を検討する必要があります。この記事では、両制度の違いと、掛金の配分を考えるうえでの基本的な視点を整理します。
国民年金基金とiDeCoの違い
国民年金基金は、加入時に将来受け取る年金額があらかじめ確定する「確定給付型」の制度です。一方のiDeCoは、自分で選んだ商品の運用成績によって将来の受取額が変動する「確定拠出型」の制度です。国民年金基金は将来の受取額が見通しやすい反面、運用による増加は期待できません。iDeCoは運用次第で受取額が増える可能性がある一方、元本割れのリスクもあります。
「確定給付型」と「確定拠出型」という考え方の違い
確定給付型は、将来の受取額をあらかじめ約束したうえで、そのために必要な掛金を計算する仕組みです。加入者にとっては将来の見通しが立てやすい一方、運用の巧拙による上振れは基本的に期待できません。確定拠出型は逆に、拠出する掛金の額は決まっているものの、将来の受取額は運用成績次第で変動します。この違いは、老後資金の計画を立てるうえで「確実性」を重視するか「成長の可能性」を重視するかという判断軸につながります。
掛金の上限は合算で管理される
第1号被保険者の場合、国民年金基金とiDeCoの掛金は合算して月額の上限の範囲内で拠出する必要があります。両方に加入する場合は、それぞれにいくら拠出するかを自分で決めることになります。なお付加保険料を納付している場合は、その分iDeCoの拠出限度額から差し引かれる仕組みになっています。
合算管理の仕組みが持つ意味
国民年金基金とiDeCoの掛金上限が合算で管理されているのは、どちらも国民年金の上乗せという同じ位置づけの制度であるためと考えられます。一方だけを優遇してしまうと、加入する制度によって受けられる税制優遇に不公平が生じてしまいます。合算管理によって、どちらの制度を選んでも、また両方を組み合わせても、上乗せできる範囲が公平に保たれる仕組みになっていると整理できます。掛金の配分を検討する際は、この上限を超えて拠出することはできないという前提を踏まえたうえで、どちらの制度にどれだけ振り分けるかを考える必要があります。
| 比較項目 | 国民年金基金 | iDeCo |
| 受取額 | あらかじめ確定(確定給付型) | 運用成績により変動(確定拠出型) |
| 掛金の所得控除 | 全額対象 | 全額対象 |
| 運用リスク | 基本的になし | あり(元本割れの可能性) |
| 中途解約 | 任意脱退は原則不可 | 原則不可 |
どちらを優先すべきか
将来の受取額を確実に見通したい場合は国民年金基金の比重を高め、運用によるリターンも期待したい場合はiDeCoの比重を高めるという考え方が一般的です。どちらも一長一短があるため、家計の状況やリスク許容度に応じて、両方をバランスよく組み合わせることも選択肢の一つです。
配分を考える際の一般的な視点
配分を検討する際は、まず老後の生活費のうち、どこまでを「確実に受け取れる金額」でまかないたいかを整理することが出発点になります。そのうえで、確実性を優先したい部分を国民年金基金に、運用による上乗せを狙いたい部分をiDeCoに振り分けるという考え方が一つの目安になります。年齢が若く運用期間を長く取れる人ほど、運用リスクを許容しやすい傾向があるともいわれますが、最終的には個々の家計状況やリスクに対する考え方によって判断が分かれる部分です。
国民年金基金とiDeCoに共通する注意点
どちらの制度も、老後資金の準備を目的とした長期の制度であるため、加入後に短期間で解約したり、資産を自由に引き出したりすることは想定されていません。加入を検討する段階で、長期にわたって掛金を拠出し続けられる家計状況にあるかを見極めておくことが重要です。特に自営業者は収入の変動が大きくなりやすいため、無理のない掛金額を設定し、必要に応じて金額を見直せる余地を残しておくことも実務上の大切な視点です。
よくある質問
Q. 会社員(第2号被保険者)は国民年金基金に加入できるか。
できません。国民年金基金は国民年金の第1号被保険者(自営業者等)を主な対象とした制度であり、厚生年金に加入する会社員は対象外です。
Q. 国民年金基金は途中で自由にやめられるか。
国民年金基金は任意に脱退することが原則できない仕組みになっています。加入を検討する際は、長期にわたって掛金を拠出し続けられるかを事前によく確認することが重要です。
Q. 国民年金基金とiDeCoの掛金配分は、途中で見直すことができるか。
iDeCoの掛金額は、一定の手続きにより変更することが可能です。国民年金基金についても口数の見直し等の仕組みがありますが、いずれも各制度の運営機関の定める手続きに沿って行う必要があるため、詳細は加入している制度の窓口に確認することをおすすめします。
まとめ
自営業者にとって、国民年金基金とiDeCoはどちらも老後資金を上乗せするための重要な選択肢です。確定給付型と確定拠出型という特性の違いを理解し、確実性と運用の可能性のどちらを重視したいかを踏まえて、掛金の上限内で自分に合った配分を検討することが大切です。

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