行政書士が生成AIを利用する際の秘密保持義務、行政書士法12条との関係

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許認可申請や遺言・相続関連の書類作成など、依頼者のプライベートな情報を扱うことの多い行政書士業務でも、生成AIの活用が広がりつつあります。まず押さえておきたいのが、行政書士法が定める秘密保持義務との関係です。

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行政書士法12条が定める秘密を守る義務

行政書士法12条は「行政書士は、正当な事由がなければ、その業務上取り扱つた事件について知り得た秘密を他に漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。」と定めています。行政書士業務では、外国人の在留資格や相続関係、会社設立に関する情報など、依頼者にとって機微な内容を扱う場面が多く、この義務の重要性は他の士業と変わりません。

生成AI利用時に特に注意したい依頼者情報

業務分野扱う情報の例
相続・遺言関連家族構成、財産の内容、相続人間の人間関係等
外国人の在留資格関連国籍、渡航歴、雇用先企業の情報等
会社設立・許認可関連事業内容、出資者の情報、事業計画の詳細等

これらの情報は、依頼者本人だけでなく、家族や取引先など第三者の情報を含むことも少なくありません。生成AIに具体的な事案を相談する際は、個人が特定できる固有名詞や具体的な事実関係を抽象化したうえで、制度や手続きの一般的な考え方を確認する使い方にとどめることが望まれます。

複数の依頼者情報が混在するリスク

生成AIのチャット機能を使い回している場合、過去のやり取りの文脈が残ったまま別の依頼者の相談を入力してしまうと、意図せず情報が混在するリスクがあります。依頼者ごとにセッションを分ける、案件が終わったら履歴を削除するなど、基本的な操作面での注意も、秘密保持の観点からは軽視できません。

よくある質問

Q. 依頼者の許可を得れば、生成AIに具体的な情報を入力してもよいか。

A. 依頼者の同意があればリスクは軽減されますが、同意の取得方法や範囲によって効果は異なります。同意を得る場合は、何のために、どの範囲の情報をAIに入力するのかを具体的に説明し、書面等で記録を残すことが望まれます。

Q. 生成AIの提案をもとに依頼者へアドバイスした場合、責任は誰が負うのか。

A. 依頼者への説明・アドバイスの責任は、最終的に行政書士本人が負います。生成AIの回答はあくまで参考情報として扱い、内容の正確性を自身で確認したうえで依頼者に伝える必要があります。

Q. 事務所のスタッフが個人で契約している生成AIを業務に使ってもよいか。

A. 個人契約のサービスは、法人向けプランに比べてセキュリティ設定やデータの取り扱いを事務所として管理しにくいという課題があります。業務で利用するAIサービスは、事務所として契約・管理する体制を整えることが望まれます。

事務所としての情報管理体制

依頼者の同意なく特定可能な情報を入力しない、業務用と私用のアカウントを分ける、退職時にはアカウントへのアクセス権を速やかに削除するといった基本的な情報管理体制を整えることが、行政書士事務所における生成AI活用の土台になります。日本行政書士会連合会や所属する都道府県会が発信する情報にも日頃から注意を払っておくとよいでしょう。

まとめ

行政書士が生成AIを利用する際は、行政書士法12条の秘密保持義務を踏まえ、依頼者を特定できる情報の入力を避けることを基本とし、事務所としての情報管理体制を整えることが重要です。書類作成での具体的な活用場面については、別記事「行政書士業務における生成AIの活用、書類作成の下書きとしてどこまで使えるか」もあわせてご確認ください。

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