顧問先との打ち合わせや依頼者との面談の内容を、生成AIの音声認識機能で自動的に文字起こし・要約するツールを使う士業事務所が増えています。手間が省ける一方、顧客との面談という性質上、一般的な社内会議の議事録作成とは異なる配慮も必要です。
生成AIによる議事録作成の仕組み
Web会議ツールに搭載された自動メモ機能や、専用の文字起こしアプリを使うことで、会話の内容を自動的にテキスト化し、要点を要約することができます。対面での面談についても、スマートフォンなどで録音した音声を生成AIに読み込ませて要約させる使い方が広がっています。
士業事務所ならではの注意点
| 注意点 | 内容 |
| 録音・記録への同意 | 依頼者・顧問先に対し、AIによる自動記録を行う旨を事前に伝え、同意を得ることが望ましい |
| 記録データの保存場所 | 文字起こしデータがどこに保存され、誰がアクセスできるかを事務所として把握しておく |
| 要約の精度確認 | 専門用語や固有名詞が誤って認識されていないか、要約後に必ず内容を確認する |
| 第三者の発言が含まれる場合 | 依頼者以外の第三者(家族、取引先等)の発言が記録される場合の取り扱い |
依頼者や顧問先との面談では、相手が「録音・記録されている」と認識していないままAIツールで自動記録が行われると、後にトラブルの原因になりかねません。面談の冒頭で、議事録作成のためにAIツールを利用する旨を一言伝えるだけでも、信頼関係の維持につながります。
要約の精度に関する注意
生成AIによる音声認識・要約は、専門用語や固有名詞(法令名、制度名、顧問先の会社名等)を誤って認識することがあります。特に、税額や保険料率などの数値を含む会話は、聞き間違いや誤変換のリスクが人間による記録以上に生じやすいため、要約結果をそのまま正式な記録として保存する前に、必ず内容を見直す習慣をつけることが重要です。
よくある質問
Q. 依頼者に無断で面談内容を生成AIに記録させてもよいか。
A. 法令上、常に事前同意が必須とまでは言い切れませんが、依頼者との信頼関係の観点から、事前に一言伝えることが望ましいとされています。
Q. AIが作成した議事録は、正式な業務記録として保存してよいか。
A. 内容の正確性を人が確認したうえであれば、業務記録として保存することに問題はありません。確認前の自動生成データをそのまま正式記録とすることは避けるべきです。
Q. クラウド型の議事録作成ツールを使う場合、データの保存先はどこを確認すればよいか。
A. サービス提供事業者の利用規約やプライバシーポリシーで、データの保存場所(国内か海外か)や第三者提供の有無、削除の可否を確認することが重要です。
事務所での運用ルール
議事録作成に生成AIを使う場合も、これまで述べてきた守秘義務との関係を踏まえ、利用するツールの選定や、記録データの保存・削除のルールを事務所として定めておくことが望まれます。特に、退職したスタッフのアカウントに過去の面談記録が残ったままにならないよう、アクセス権限の管理も忘れずに行う必要があります。
まとめ
議事録・面談記録の作成に生成AIを活用する際は、業務効率化のメリットを享受しつつ、依頼者への配慮と記録内容の正確性の確認を怠らないことが重要です。事務所全体での情報管理ルールについては、別記事「税理士・社労士事務所が生成AI導入時に整備すべき社内ルールの作り方」もあわせてご確認ください。

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