ふるさと納税をしてみたいけれど、「確定申告が必要になるのでは」と不安に感じて踏み出せない方も多いのではないでしょうか。実は、一定の条件を満たす給与所得者であれば、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除が受けられる「ワンストップ特例制度」という仕組みがあります。
ワンストップ特例制度は平成27年(2015年)に始まった制度で、会社員など普段確定申告をしない方が、寄附先の自治体に申請書を提出するだけで住民税の控除を受けられるようにするものです。ただし、対象者の条件や提出期限が決まっており、条件を満たさない場合や期限を過ぎた場合は、確定申告が必要になります。
この記事では、ワンストップ特例制度の仕組み、対象となる人の条件、申請方法と期限、確定申告との違いについて、総務省の公表情報をもとに整理します。これからふるさと納税を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
ワンストップ特例制度とはどんな仕組みか
確定申告なしで寄附金控除が受けられる制度
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすることで、寄附額のうち自己負担額の2,000円を除いた部分について、所得税と住民税から控除(税金の減額)が受けられる制度です。本来、この控除を受けるには確定申告が必要ですが、ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告をしなくても住民税の控除という形で同様の効果を受けられます。
控除される税金は住民税のみ
確定申告をした場合は所得税と住民税の両方から控除されますが、ワンストップ特例制度を利用した場合は所得税からの控除は行われず、寄附額に応じた控除額の全額が翌年度分の住民税から控除される仕組みになっています。控除される税金の種類が異なるだけで、最終的な控除の合計額は基本的に確定申告をした場合と同程度になるよう設計されています。
ワンストップ特例制度を利用できる人の条件
確定申告が不要な給与所得者などであること
ワンストップ特例制度を利用できるのは、もともと確定申告をする必要がない給与所得者などが対象です。医療費控除を受けるためや、副業の所得があるために確定申告をする必要がある方は、ワンストップ特例制度ではなく確定申告でふるさと納税の控除を受けることになります。
寄附先の自治体が年間5団体以内であること
ワンストップ特例制度を利用するためには、1年間(1月1日から12月31日まで)の寄附先自治体数が5団体以内である必要があります。同じ自治体に複数回寄附した場合は1団体として数えますが、6団体以上の自治体に寄附をした場合は、ワンストップ特例制度は利用できず、確定申告が必要になります。
ワンストップ特例の申請方法
寄附のたびに自治体へ申請書を提出
ワンストップ特例制度を利用するには、寄附をするたびに、寄附先の自治体に対して「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要があります。多くの場合、寄附先のふるさと納税サイトから申し込む際に、ワンストップ特例の申請書送付を希望する旨を選択できます。
申請書の提出方法は、郵送のほか、マイナンバーカードを利用したオンライン申請に対応している自治体もあります。申請の際には、マイナンバーが確認できる書類の写しや、本人確認書類の写しの添付が必要になるのが一般的です。
提出期限は寄附の翌年1月10日
ワンストップ特例の申請書は、寄附をした翌年の1月10日必着で、寄附先の自治体に提出する必要があります。年末に駆け込みで寄附をした場合、申請書の準備や郵送が期限に間に合わないこともあるため、余裕を持って手続きを進めることが大切です。1月10日が土日にあたる年は、自治体によって取り扱いが異なる場合があるため、寄附先の案内を確認しましょう。
申請時の注意点
期限を過ぎた場合や条件を満たさない場合
申請書の提出期限を過ぎてしまった場合や、6団体以上の自治体に寄附をした場合、あるいは申請後に転居などで住所が変わり自治体への届出が漏れていた場合などは、ワンストップ特例が無効になることがあります。この場合でも、確定申告を行えば寄附金控除を受けることができるため、期限に間に合わなかった場合は確定申告での対応を検討しましょう。
住所や氏名が変わったときは変更届が必要
申請書を提出した後、年内に引っ越しなどで住所が変わった場合は、「申告特例申請事項変更届出書」を寄附先の自治体に提出する必要があります。この届出を忘れると、住民票上の住所地とワンストップ特例の適用先が一致せず、控除が正しく反映されない可能性があるため注意が必要です。
確定申告をするとワンストップ特例は無効になる
ワンストップ特例の申請をしていても、医療費控除など別の理由で確定申告をする場合は、ふるさと納税分もあわせて確定申告書に記載する必要があります。ワンストップ特例の申請をしたからといって確定申告をしなくてよいわけではなく、確定申告をする場合はワンストップ特例の申請自体が無効になる点に注意しましょう。
控除の反映は翌年度の住民税から
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除の効果はすぐには実感しにくい点にも注意が必要です。控除は寄附をした翌年度(6月以降)の住民税から差し引かれる形で反映されるため、寄附をしたその年の給与から天引きされる住民税がすぐに減るわけではありません。控除の内容は、勤務先から届く住民税決定通知書などで確認できます。
そもそもふるさと納税の控除の仕組みとは
自己負担2,000円で返礼品も受け取れる
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税・住民税の控除(ワンストップ特例の場合は住民税からの控除)が受けられる制度です。加えて、多くの自治体では寄附のお礼として、地域の特産品などの返礼品を用意しており、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる点が人気の理由になっています。
控除には上限額がある
控除を受けられる寄附額には、年収や家族構成に応じた上限(控除限度額)があります。上限を超えて寄附をした部分は自己負担となるため、寄附をする前に、ふるさと納税サイトなどが提供しているシミュレーションを使って、自分の控除限度額の目安を確認しておくことをおすすめします。
ワンストップ特例と確定申告、どちらを選ぶべきか
会社員で寄附先が少ない場合はワンストップ特例が手軽
給与所得者で、もともと確定申告をする予定がなく、寄附先も5団体以内に収まる見込みであれば、手続きが簡単なワンストップ特例制度を利用するのが手軽です。寄附のたびに申請書を提出する手間はありますが、確定申告書を作成する必要がない分、負担は少なくなります。
医療費控除などがある場合は確定申告でまとめて
医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、もともと確定申告が必要な方は、ふるさと納税の分もあわせて確定申告書に記載することになります。この場合、ワンストップ特例の申請書を提出していても効力を持たないため、確定申告書の「寄附金控除」欄に、寄附先から送られてくる「寄附金受領証明書」の内容をもとに記入しましょう。
まとめ
ワンストップ特例制度は、確定申告に不慣れな方でも手軽にふるさと納税の控除を受けられる便利な仕組みです。ただし、寄附先が5団体以内であることや、翌年1月10日までに申請書を提出することなど、いくつかの条件を満たす必要があります。
年末は駆け込みでの寄附が増え、申請書の準備が間に合わなくなりがちです。寄附を検討している方は、余裕を持ったスケジュールで申請書の提出まで済ませておくことをおすすめします。条件に不安がある場合や期限を過ぎてしまった場合は、確定申告での対応も選択肢に入れておきましょう。

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