「うちは中小企業だから関係ない」と聞き流してしまいがちな新リース会計基準ですが、取引先が上場企業やその子会社である場合、間接的に対応を求められる可能性があります。適用開始が近づく2027年4月に向けて、制度の概要を押さえておきましょう。
新リース会計基準とは
新リース会計基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した、リース取引の会計処理を定める新しい基準です。従来、オペレーティング・リース(賃貸借処理)として費用計上のみで済んでいた取引の多くについて、借り手側の貸借対照表に「使用権資産」と「リース負債」を計上することが求められるようになります。オフィスの賃貸借契約や、コピー機・車両のリース契約なども対象になり得ます。
対象となる企業の範囲
| 企業区分 | 適用の扱い |
| 上場会社およびその子会社・関連会社 | 強制適用 |
| 会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)で会計監査人設置会社 | 強制適用 |
| 上記に該当しない中小企業 | 任意適用(従来の会計処理も可能) |
強制適用となるのは、上場企業や、会計監査人を設置する非上場の大会社などです。多くの中小企業は強制適用の対象にはならず、任意適用にとどまります。ただし、取引先が上場企業である場合、契約条件の確認や情報提供を求められる可能性がある点には留意が必要です。
適用開始時期
新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用となる予定です。強制適用の対象企業は、決算日が3月末であれば2028年3月期から本格的に対応が必要になるため、契約の洗い出しなど準備を早めに始めることが望まれます。
中小企業として押さえておきたい点
中小企業自身は任意適用でよいとしても、賃貸借契約やリース契約の相手方(貸し手)が上場企業のグループ会社である場合、契約条件(解約不能期間、更新オプションの有無など)について問い合わせを受ける可能性があります。自社が保有しているリース・賃貸借契約の一覧を整理しておくと、こうした問い合わせにも落ち着いて対応できます。
よくある質問
Q. 中小企業でも将来的に強制適用の対象になることはあるのか。
A. 現時点で公表されている基準では、上場会社や会計監査人設置会社が対象とされていますが、将来の会計基準の見直しによって範囲が変わる可能性はあります。最新の公表情報を確認することが大切です。
Q. 少額なリース取引(コピー機など)も使用権資産の計上対象になるのか。
A. 強制適用の対象企業であっても、少額リースや短期リースについては簡便的な取り扱い(費用処理の継続)が認められる場合があります。詳細は基準の内容を確認してください。
Q. 中小企業が任意適用を選ぶメリットはあるのか。
A. 使用権資産・リース負債を計上することで、金融機関等に対して保有する資産・負債の実態をより詳細に開示できる面はありますが、事務負担も増えるため、任意適用を選ぶかどうかは自社の状況にあわせて検討する必要があります。
対応準備として今からできること
強制適用の対象になる可能性がある企業(上場準備中の企業や、大会社のグループ会社など)はもちろん、任意適用にとどまる中小企業であっても、まずは自社が締結している賃貸借契約・リース契約を一覧化しておくことが有効です。契約期間、解約不能期間、更新オプションの有無、月額の支払額といった情報を整理しておけば、将来的に強制適用の対象になった場合や、取引先から情報提供を求められた場合にも、スムーズに対応できます。特に本社オフィスの賃貸借契約や、複数年契約の機器リースは、金額的なインパクトが大きくなりやすいため、優先的に洗い出しておくとよいでしょう。
まとめ
新リース会計基準は、多くの中小企業にとって当面は任意適用ですが、取引先対応の観点から概要を把握しておく価値があります。決算に関わるもう一つの会計基準については、別記事「収益認識に関する会計基準、中小企業は適用しなくてよいのか」もご確認ください。

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