毎年、年末調整の時期に従業員から回収する「扶養控除等申告書」や「基礎控除申告書」。令和8年分の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の引き上げにあわせて、これらの申告書の名称や記載内容にも変更が加わる見込みです。特に、新設される「特定親族特別控除」に関する記載が、基礎控除申告書とあわせて1枚の様式に統合される点は、実務担当者にとって見落とせないポイントです。本記事では、令和8年分の基礎控除申告書がどのような内容になるのか、新設される特定親族特別控除の概要とあわせてわかりやすく解説します。様式の詳細は国税庁が公表する最新の様式・通達でご確認ください。
基礎控除申告書とは
基礎控除申告書とは、年末調整において従業員自身の基礎控除額を確定させるために、勤務先に提出する書類です。基礎控除額は合計所得金額に応じて段階的に変わる仕組みになっているため、従業員本人にその年の所得の見積額などを記載してもらい、勤務先がそれに基づいて控除額を計算する仕組みになっています。
なぜ申告書の提出が必要なのか
基礎控除は、所得税の計算において全ての納税者に適用される基本的な控除ですが、合計所得金額によって控除額が変わるため、年末調整の際に従業員本人の所得状況を確認する必要があります。そのために基礎控除申告書を用いて、本人の合計所得金額の見積りなどを記載してもらう仕組みになっています。
令和8年分の申告書の変更点
令和8年分の年末調整では、国税庁から公表されている様式において、基礎控除申告書が他の申告書と統合された形式になる見込みです。正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」とされており、複数の控除に関する申告を1枚の様式でまとめて行う形になります。
1枚の様式に統合される背景
これまでも基礎控除申告書と配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書は同一の様式にまとめられていましたが、令和8年分からは新設される特定親族特別控除に関する申告欄が追加される形で様式が更新される見込みです。従業員が記載する手間を大きく増やさないよう、既存の様式への統合という形が取られています。
国税庁による様式の公表時期
国税庁は令和8年度税制改正を踏まえた年末調整関係様式について、確定版を令和8年6月30日に公表したとされています。給与計算システムを利用している企業では、システム側の対応状況もあわせて確認しておくとよいでしょう。
新設される「特定親族特別控除」とは
特定親族特別控除は、令和8年度税制改正で新設された控除で、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族のうち、従来の控除対象扶養親族(特定扶養親族)には該当しないものの、一定の所得金額以下である方を対象とした控除です。
対象となる年齢と所得要件
対象となるのは、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の親族です。合計所得金額が一定額以下(目安として123万円以下、年収にすると188万円程度まで)であれば、段階的に控除を受けられる仕組みとされています。控除額は対象者の所得金額に応じて変動するため、一律の金額ではない点に注意が必要です。
創設の背景
大学生世代の子どもがアルバイトなどで一定以上の収入を得ると、従来の特定扶養控除の対象から外れてしまい、世帯の税負担が急に増えてしまうという「年収の壁」のような状態が指摘されていました。特定親族特別控除は、所得が一定額を超えても段階的に控除額が減っていく仕組みにすることで、こうした急激な税負担の変化を緩和することを目的としているとされています。
実務上の注意点
従業員への周知
19歳以上23歳未満の子どもがいる従業員にとっては、特定親族特別控除の対象になるかどうかが年末調整の記載内容に直接関わってきます。対象となりそうな従業員には、あらかじめ制度の概要を周知しておくと、申告書の記載ミスや問い合わせの減少につながります。
所得の見積りの記載
特定親族特別控除は親族本人の合計所得金額に応じて控除額が変わるため、申告書には親族の所得の見積額を記載してもらう必要があります。アルバイト収入がある学生の場合、年間の収入見込みを正確に把握してもらうよう案内することが大切です。
様式の最新版を必ず確認
年末調整に関する様式や記載方法は、今後の国税庁の発表により一部変更される可能性があります。年末調整の案内を従業員に配布する前に、必ず国税庁の公式サイトで最新の様式を確認するようにしましょう。
まとめ
令和8年分の年末調整では、基礎控除申告書が他の申告書と統合された形式となり、新設される特定親族特別控除に関する記載欄が追加される見込みです。特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の親族がいる家庭にとって年末調整の内容に直接影響する制度であるため、対象となる従業員への早めの周知が実務上のポイントになります。最新の様式や記載方法は国税庁の公表資料を随時確認しながら、余裕を持って年末調整の準備を進めましょう。

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