FP技能検定1級は、ファイナンシャル・プランニング技能士の中で最上位に位置する国家資格です。学科試験は一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)のみが実施し、直近の合格率はおおむね12%~19%程度で推移しています。一方、実技試験はきんざいの「資産相談業務」と日本FP協会の「資産設計提案業務」の2種類があり、いずれも合格率は75%~97%程度と学科試験より大きく高くなっています。本稿では、両実施団体が公表している公式データをもとに、直近の受験者数・合格率の推移を整理します。
受験者数・合格率の推移
FP1級の学科試験はきんざいが年3回(1月・5月・9月)実施しており、実技試験はきんざいが年3回、日本FP協会が年1回(9月)実施しています。本稿執筆時点(2026年9月)で確認できる最新のデータとして、学科試験は2026年5月実施分、きんざいの実技試験は2026年6月実施分、日本FP協会の実技試験は2025年9月実施分までを掲載しています。FP1級はFP2級に比べて受験者数自体が少なく、金融機関や保険会社で相談業務に携わる社会人が、実務上のスキル証明として受験するケースが多いとされています。なお、学科試験・実技試験ともに合格することで初めて「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」を名乗ることができ、いずれか一方のみの合格では資格取得とはなりません。
学科試験(きんざい)の合格率推移
| 実施年月 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2025年1月 | 4,782名 | 804名 | 16.81% |
| 2025年5月 | 3,909名 | 733名 | 18.75% |
| 2025年9月 | 3,764名 | 580名 | 15.40% |
| 2026年1月 | 4,338名 | 543名 | 12.51% |
| 2026年5月 | 3,488名 | 433名 | 12.41% |
実技試験(きんざい・資産相談業務)の合格率推移
| 実施年月 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2025年10月 | 558名 | 485名 | 86.91% |
| 2026年2月 | 715名 | 620名 | 86.71% |
| 2026年6月 | 703名 | 593名 | 84.35% |
実技試験(日本FP協会・資産設計提案業務)の合格率推移
| 実施年月 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2023年9月 | 1,005名 | 967名 | 96.2% |
| 2024年9月 | 1,333名 | 1,099名 | 82.44% |
| 2025年9月 | 1,338名 | 1,012名 | 75.63% |
データから読み取れる傾向
学科試験は合格率がやや低下している
学科試験の合格率は2025年1月の16.81%から2026年5月には12.41%まで下がっており、直近5回のうち後半の3回は12%台にとどまっています。単年度の数字だけを見ると変動が大きいように映りますが、複数回のデータを並べることで、合格率が緩やかに切り下がってきていることが読み取れます。ただし金融財政事情研究会は出題内容の難化について公式な説明を行っていないため、断定は避け、結果として合格率が下がっているという事実として捉えるべきでしょう。
受験者数の規模感
学科試験の受検者数は直近5回で3,488名~4,782名と、FP2級・FP3級に比べるとかなり小規模です。これは、FP1級の学科試験を受けるにはFP2級合格に加えて一定の実務経験が必要になるなど、受験資格のハードルが設けられているためで、母集団自体がある程度実務経験を積んだ層に絞られていることを示しています。
実技試験は実施団体・形式で水準が異なる
実技試験は、きんざいの「資産相談業務」が84%~87%程度、日本FP協会の「資産設計提案業務」が75%~97%程度で推移しており、いずれも学科試験より高い合格率です。ただし日本FP協会の実技試験は2023年9月の96.2%から2025年9月の75.63%へと年ごとの振れ幅が大きく、きんざいの実技試験より変動が目立ちます。実施団体・試験形式によって出題傾向や採点基準が異なるため、単純に「実技は簡単」と捉えず、自分が受ける試験区分の過去問と出題範囲を個別に確認することが重要です。
難易度の実態と学習のポイント
FP1級の学科試験は、直近5回でも12%台から18%台まで幅があります。たまたま合格率が高かった回のデータだけを見て対策を軽く見積もると、準備不足に陥りかねません。逆に合格率が低い回の数字だけを見て過度に難しく感じる必要もありません。複数回分の推移を確認したうえで、平均的な水準感を持って学習計画を立てることをおすすめします。
また、FP1級の実技試験(資産相談業務)では住宅ローンや消費者向け融資の相談対応力も問われるため、貸金業務取扱主任者試験の受験者数・合格率の推移まとめ|難易度をデータで確認と学習範囲が重なる部分があり、金融機関に勤務する人は関連資格として並行学習を検討する価値があります。
学科試験は出題範囲が広く、税制や社会保険制度の改正情報を継続的に追いかける必要があります。一方の実技試験は、きんざいが面接形式、日本FP協会が筆記形式という違いがあるため、学科合格後にどちらを選ぶかで対策方法がまったく異なります。受験資格やこれまでの実務経験も踏まえ、早い段階でどちらの実技試験を受けるか決めておくと、学習の的が絞りやすくなります。
また、学科試験の出題範囲はライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6分野にまたがるため、得意分野に偏らず、苦手分野を早期に洗い出して重点的に復習する進め方が効率的です。過去問演習だけでなく、法改正や税制改正の最新情報を毎年チェックする習慣をつけておくと、本番での取りこぼしを減らせます。
よくある質問
Q. FP技能検定1級の合格率は、なぜ学科と実技でこれほど差があるのか。
学科試験は出題範囲が広い筆記試験であるのに対し、実技試験は学科合格者や所定の実務経験者のみが受験するため、母集団の実力があらかじめ絞り込まれていることが一因と考えられます。また実技試験は面接形式や事例形式が中心で、学科試験とは評価の観点が異なる点も影響していると考えられます。
Q. FP技能検定1級はきんざいと日本FP協会のどちらで実技試験を受けるべきか。
きんざいの「資産相談業務」は面接方式、日本FP協会の「資産設計提案業務」は筆記方式という違いがあります。人前で口頭説明する形式が得意か、書面で整理して解答する形式が得意かが選択の目安になります。受験資格の要件も異なるため、事前に各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。
Q. FP技能検定1級の学科試験に合格した場合、実技試験の受験期限はあるか。
学科試験の合格には有効期限が設けられており、期限内に実技試験に合格しないと、学科試験からの再受験が必要になります。有効期限は制度改定により変更される可能性があるため、受験を予定している場合は必ず金融財政事情研究会または日本FP協会の最新の公式発表で確認してください。
Q. FP技能検定1級はFP2級を持っていないと受験できないか。
FP1級学科試験の受験資格には、FP2級合格かつ実務経験を有すること、または長期の実務経験を有することなど複数のルートが定められています。自分がどのルートに該当するかは、受験前に必ずきんざいの公式サイトで最新の受験資格要件を確認してください。
Q. FP技能検定1級とCFP(R)資格はどちらが上位の資格か。
FP1級技能士とCFP(R)は、いずれも民間資格の中では上位に位置づけられるFP関連資格ですが、認定団体や更新要件が異なる別々の資格です。どちらか一方を取得すればもう一方が自動的に得られるわけではないため、それぞれの認定要件を確認したうえでキャリアプランに合わせて取得を検討するとよいでしょう。
まとめ
FP技能検定1級は、学科試験が12%~19%程度、実技試験が75%~97%程度の合格率で推移しており、学科試験の突破が最大の関門となっています。直近のデータからは学科試験の合格率がやや低下傾向にあることも読み取れますが、単年度の数字に一喜一憂せず、複数回の推移を踏まえて学習計画を立てることが合格への近道です。最新の試験日程や受験資格は、必ず金融財政事情研究会・日本FP協会それぞれの公式サイトで確認したうえで準備を進めましょう。

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