約束手形はなぜ廃止される?2026年度末目標とでんさい・振込への切り替え実務

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「うちはまだ手形で支払っているが、そろそろやめないといけないのか」――取引先から手形を渡され続けている経理担当者や、自社の支払手段を見直したい経営者から、こうした相談が増えています。約束手形は法律で禁止されるわけではありませんが、政府と金融界が2026年度末を目標に、紙の手形・小切手を事実上使えなくする取り組みを進めています。本記事では、その背景と、実務でどう対応すればよいかを解説します。

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約束手形はなぜ廃止に向かっているのか

金融庁は、手形・小切手機能の全面的な電子化を政府方針として掲げ、全国銀行協会などの金融界がこれに沿って取り組みを進めています。目標は「2026年度末までに手形交換所における交換枚数をゼロにし、2027年度初から手形・小切手の交換自体を廃止する」というものです。法律による強制ではありませんが、手形交換所での取り扱いがなくなれば、事実上、紙の約束手形は決済手段として使えなくなります。

廃止までのスケジュール感

時期内容
〜2026年度末手形・小切手の利用者に、電子的な決済手段への切り替えを促す期間
2026年度末手形交換所における交換枚数を実質ゼロにすることが目標
2027年度以降手形交換所における手形・小切手の交換を廃止(予定)

代わりに使える決済手段

紙の手形に代わる決済手段として案内されているのは、主に電子記録債権(でんさい)とインターネットバンキングによる振込です。でんさいは、手形と同様に支払期日を先延ばしにできる仕組みを電子的に実現したもので、手形の商習慣に近い形で移行しやすいとされています。振込であれば支払期日にその場で資金が移動するため、より単純ですが、資金繰りの管理方法を見直す必要があります。

経理担当者が今から準備すべきこと

まず自社が振り出している約束手形、受け取っている約束手形の件数と取引先を洗い出すことから始めます。取引先ごとに、でんさいへの切り替えが可能か、振込への変更でよいかを整理し、契約条件(支払サイトなど)の見直しについて早めに取引先と協議しておくことが望まれます。あわせて、電子記録債権の利用にはでんさいネットへの参加登録が必要になるため、取引銀行に相談して準備を進めましょう。

よくある質問

Q. 約束手形は今すぐ使えなくなるのか。

A. 現時点で法律上の使用禁止はありません。ただし、金融界が2026年度末を目標に手形交換所での取り扱いをなくす方向で進めているため、実務上は早めに電子的な決済手段へ切り替えておくことが望まれます。

Q. でんさいと振込のどちらに切り替えればよいか。

A. 支払期日を先延ばしにする商習慣(手形サイト)を維持したい場合はでんさいが近い運用になります。支払サイトの短縮に合わせて振込に一本化する企業も増えています。自社の資金繰りと取引先との関係を踏まえて選択するとよいでしょう。

Q. 小切手も同じように廃止されるのか。

A. 手形と同様に、小切手についても手形交換所での取り扱いをなくす方向で電子化が進められています。振込やインターネットバンキングへの切り替えが案内されています。

取引先との交渉で気をつけたいポイント

手形払いから振込やでんさいへ切り替える際、支払側にとっては「手形サイト(支払期日までの猶予期間)が実質的になくなる、または短くなる」ことを意味する場合があります。振込は原則として期日どおりの即時決済になるため、これまで手形のサイトを利用して資金繰りを調整していた会社は、切り替えのタイミングで資金繰り計画を見直す必要があります。一方、でんさいであれば、手形と同様に譲渡・割引・分割譲渡といった資金化の手段が使えるため、支払サイトを維持したい会社にとっては手形に近い運用がしやすいというメリットがあります。取引先へ切り替えを打診する際は、自社・相手先双方の資金繰りへの影響を踏まえたうえで、時期や方法を協議することが望まれます。

まとめ

約束手形の廃止は法律による強制ではなく、金融界の自主的な取り組みですが、2026年度末という目標時期が明確に示されている以上、経理実務としては早めの対応が欠かせません。手形に代わる決済手段として注目される電子記録債権(でんさい)の仕組みについては、別記事「電子記録債権(でんさい)とは?手形との違いと導入までの流れ」もあわせてご確認ください。

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