賃上げ促進税制とは?給与等支給額増加による税額控除の仕組み

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「賃上げをしたいが、その分税負担が増えるだけではないか」と考える経営者に対し、経理担当者として制度の存在をきちんと説明できているでしょうか。賃上げ促進税制は、給与等の支給額を一定以上増加させた企業に対し、その増加額の一部を法人税額から控除できる制度です。

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賃上げ促進税制とは

賃上げ促進税制は、青色申告書を提出する法人が、前年度と比較して雇用者への給与等の支給額を一定割合以上増加させた場合に、その増加額の一部を法人税額から控除できる制度です。企業規模(大企業・中堅企業・中小企業)によって、適用要件や控除率が異なります。

中小企業向けの税額控除率

給与等支給額の増加割合基本の税額控除率
1.5%以上2.5%未満10%
2.5%以上15%

さらに、教育訓練費の増加割合が5%以上、かつ教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上であれば10%が上乗せされ、教育訓練費の増加割合が10%以上であればさらに10%が加算されます。加えて、くるみん認定またはえるぼし認定を受けている場合は5%が加算され、要件をすべて満たせば最大で45%の税額控除率になります。

赤字企業でも使える5年間の繰越控除

中小企業向けの賃上げ促進税制では、その事業年度の税額から控除しきれなかった金額を、5年間繰り越して控除できる制度が設けられています。これにより、賃上げを行った年度に赤字で法人税額が発生しなかった企業でも、その後黒字化した年度に繰り越して控除を受けられる余地があります。ただし、繰越控除を行う年度についても、給与等支給額が前年度を上回っていることが条件とされています。

経理実務での準備

この制度の適用を受けるには、雇用者給与等支給額や比較雇用者給与等支給額といった、細かく定義された金額を正確に集計する必要があります。給与計算システムから、前年度・当年度の支給額を対象者・対象範囲にあわせて正しく抽出できる体制を整えておくことが、制度活用の第一歩になります。決算前には、当期の賃上げ状況を試算し、控除額の見込みを把握しておくとよいでしょう。

よくある質問

Q. パート・アルバイトの給与も賃上げ促進税制の対象に含まれるか。

A. 一定の要件のもとで、継続雇用者に対する給与等支給額として集計対象に含まれる場合があります。対象範囲の細かい定義については税理士に確認してください。

Q. 役員報酬の増加も税額控除の対象になるか。

A. 原則として、役員及び役員の特殊関係者に対する給与等は、賃上げ促進税制の対象となる給与等支給額から除外されます。

Q. 繰越控除を受けるための手続きは何か必要か。

A. 繰越税額控除限度超過額に関する明細を確定申告書に添付するなど、一定の手続きが必要です。詳細は税理士に確認することをおすすめします。

賃上げ計画の早期把握の重要性

この制度の控除率は、給与等支給額の増加割合によって段階的に変わるため、決算間際になって初めて増加割合を計算するのではなく、期中の段階で試算しておくことが望まれます。昇給のタイミングや賞与の支給額によって増加割合が変動するため、人事・給与部門と経理部門が連携し、年度を通じて賃上げの進捗を共有しておくと、より有利な控除率を狙った計画的な賃金改定がしやすくなります。

まとめ

賃上げ促進税制は、教育訓練費や認定制度の活用とあわせて上乗せ控除を狙える、中小企業にとって使い勝手のよい制度です。設備投資にかかる税制優遇については、別記事「中小企業経営強化税制とは?即時償却・税額控除の使い方」もあわせてご確認ください。

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