社会保険料を労使折半で計算すると、1円未満の端数が生じることがあります。この端数をどう処理するかについて明確なルールを知らないまま、給与計算ソフトの初期設定に任せきりになっている担当者も少なくないのではないでしょうか。正しい処理方法を確認しておきましょう。
端数処理の原則的な考え方
被保険者が事業主に対して現金で自己負担分を支払う場合、50銭以下の端数は切り捨て、50銭を超える端数は切り上げて1円とするのが原則です。一方、給与から社会保険料を控除する場合には、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上の端数は切り上げるという、現金納付の場合とは異なる端数処理が原則とされています。
| 場面 | 端数処理の原則 |
| 被保険者が現金で事業主に支払う場合 | 50銭以下切り捨て、50銭超切り上げ |
| 給与から控除する場合 | 50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げ |
労使の特約がある場合は特約が優先される
就業規則や労使慣行等により、被保険者負担分の端数について、常に切り捨てる、あるいは常に切り上げるといった特約がある場合には、その特約にもとづく処理が優先されます。多くの給与計算ソフトでは、端数処理の方式を選択できるようになっているため、自社がどちらの方式を採用しているかを、導入時の設定内容から確認しておくことが重要です。
端数処理を誤るとどうなるか
端数処理のルールを誤って適用していても、1人あたりの金額は数円程度のずれにとどまることが多いため、見過ごされがちです。しかし、従業員数が多い企業では積み重なると看過できない金額になることもあり、また、賃金台帳や給与明細の数字が合わないことで、従業員からの問い合わせや信頼低下につながる可能性もあります。給与計算ソフトを切り替えた際などには、端数処理の設定が自社のルールと一致しているかを必ず確認することが望まれます。
よくある質問
Q. 会社が労働者の負担分をすべて切り捨てにして、会社が差額を負担することは可能か。
A. 労使間の合意(就業規則の規定や労使協定など)により、労働者に有利な形(常に切り捨てにするなど)で処理することは可能です。その場合、切り捨てた差額分は会社の負担となります。
Q. 端数処理の方式を途中で変更することはできるか。
A. 就業規則の変更等の手続きを経れば変更は可能ですが、労働者にとって不利益な変更となる場合は、変更の必要性や合理性について慎重に検討し、周知・説明を尽くすことが望まれます。
Q. 端数処理のミスが発覚した場合、遡って精算する必要があるか。
A. 誤った処理によって過不足が生じていた場合は、原則として遡って精算することが望まれます。金額や期間によって対応方法は異なるため、社会保険労務士等に相談しながら進めることをお勧めします。
まとめ
社会保険料の計算のもとになる標準報酬月額は、毎年の算定基礎届によって見直されます。あわせて別記事「算定基礎届とは?2026年度の書き方・提出期限・電子申請の流れ」もご確認ください。

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