日商簿記2級は、統一試験(ペーパー方式)とネット試験(CBT方式)の両方で実施されている資格です。結論から言うと、2020年12月のネット試験導入以降、受験者の中心は統一試験からネット試験へと大きく移っており、年度単位の受験者数で見るとネット試験がすでに統一試験を大幅に上回っています。この記事では日本商工会議所の公式データをもとに、両試験それぞれの受験者数・合格率の推移を確認します。
統一試験の受験者数・合格率の推移(直近5回分)
統一試験は年3回(2月・6月・11月)実施されています。以下は直近5回分のデータです(2026年9月時点で確認できる最新の公式発表)。
| 実施回(実施年月) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 第173回(2026年6月) | 4,821名 | 728名 | 15.1% |
| 第172回(2026年2月) | 6,038名 | 911名 | 15.1% |
| 第171回(2025年11月) | 6,332名 | 1,492名 | 23.6% |
| 第170回(2025年6月) | 5,383名 | 1,193名 | 22.2% |
| 第169回(2025年2月) | 7,118名 | 1,486名 | 20.9% |
ネット試験(CBT方式)の受験者数・合格率の推移(直近5年度分)
ネット試験は通年で実施されており、日本商工会議所は年度単位(4月~翌3月)で受験者データを公表しています。直近5年度分は以下の通りです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2025年度(2025年4月~2026年3月) | 141,072名 | 46,351名 | 32.9% |
| 2024年度(2024年4月~2025年3月) | 124,429名 | 44,359名 | 35.7% |
| 2023年度(2023年4月~2024年3月) | 119,036名 | 41,912名 | 35.2% |
| 2022年度(2022年4月~2023年3月) | 105,289名 | 39,076名 | 37.1% |
| 2021年度(2021年4月~2022年3月) | 106,833名 | 40,713名 | 38.1% |
年度単位の受験者数を比較すると、ネット試験は10万名を超える規模で推移しているのに対し、統一試験は年3回合計でも2万名前後にとどまっており、簿記2級の受験者の多くがネット試験を選択していることが分かります。
データから読み取れる傾向
受験者の中心はネット試験に移っている
2020年12月にネット試験が導入されて以降、都合の良い日時・会場を選んで受験できる利便性から、多くの受験者がネット試験を選ぶようになったと考えられます。統一試験は年3回・特定の日程でしか受験できない一方、ネット試験はテストセンターの空き状況に応じて随時受験できるため、社会人受験者にとって特に選びやすい試験方式になっていると考えられます。
合格率は統一試験・ネット試験で近い水準とは限らない
合格率の水準を比べると、統一試験は直近5回で15.1%~23.6%、ネット試験は直近5年度で32.9%~38.1%となっており、単純比較ではネット試験の方が高めに出ています。ただし、ネット試験は問題がランダムに出題される方式であり、出題範囲や難易度の調整方法が統一試験と異なるため、数値を単純に比較して「ネット試験の方が易しい」と結論づけることは適切ではありません。
長期的に見た統一試験受験者数の推移
統一試験の受験者数は、ネット試験導入以前と比べて大きく減少しています。日本商工会議所が公表している過去のデータから、代表的な回を抜粋すると以下の通りです。
| 実施回(実施年月) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 第110回(2005年6月) | 39,859名 | 16,264名 | 40.8% |
| 第125回(2010年6月) | 67,337名 | 26,909名 | 40.0% |
| 第140回(2015年6月) | 47,480名 | 16,395名 | 34.5% |
2010年前後には1回あたり6万名を超える実受験者数があった統一試験ですが、ネット試験が導入された2020年12月以降は1回あたり5,000~9,000名程度まで減少しています。これは受験者数自体が大きく減ったというより、多くの受験者がネット試験に移ったことによる内訳の変化と見るのが実態に近いと考えられます。
難易度の実態と学習のポイント
簿記2級は商業簿記に加えて工業簿記が加わり、3級と比べて学習範囲が大きく広がります。合格率は直近では20%台前半から30%台前半で推移していますが、年度・回によって変動するため、それを踏まえて余裕のある学習計画を立てることが望まれます。また、統一試験とネット試験のどちらを選んでも、出題される論点の範囲自体は共通の試験範囲に基づいているため、まずは自分に合った受験方式を決めたうえで、演習量を積むことが優先事項になります。
受験方式を選ぶ際は、簿記2級の知識を土台とする関連資格として建設業経理士2級の受験者数・合格率の推移まとめ|建設業界で評価される理由の情報もあわせて確認しておくと、その後のキャリアプランを描きやすくなります。
特にネット試験は自分の都合に合わせて受験日を選べるため、模試や過去問で合格ラインの70点に安定して届くようになってから申し込む、という進め方も有効です。
学習スケジュールを立てる際の考え方
簿記2級は商業簿記・工業簿記の両方から出題されるため、まず配点の大きい商業簿記の個別論点(連結会計の基礎、有価証券、税効果会計など)を固め、工業簿記は標準原価計算・直接原価計算といった頻出論点から着手すると効率的とされています。ネット試験を受ける場合は、模擬問題や過去の統一試験の問題を組み合わせて演習量を確保し、時間内に合格ライン(70点)へ安定して届くかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。
受験方式ごとの向き・不向き
ネット試験は申込から受験までの期間が短く、結果もその場で分かるため、就職活動や社内の昇進・異動の期限に合わせて受験日を柔軟に設定したい人に向いています。一方、統一試験は結果発表までに一定の期間を要しますが、大学や専門学校の授業カリキュラムと連動して学習を進めている場合や、大人数が同じ会場で受験する緊張感の中で実力を発揮する練習をしておきたい場合には、統一試験を選ぶという考え方もあります。どちらの方式であっても出題される試験範囲自体は共通しているため、自分の生活スタイルや目的に応じて選ぶとよいでしょう。
よくある質問
Q. 日商簿記2級は統一試験とネット試験のどちらを受けるべきか。
どちらも同じ日商簿記2級の資格として扱われ、合格による効力に違いはありません。受験日程の自由度を重視するならネット試験、大人数の会場での試験に慣れておきたい場合は統一試験、というように自分の学習スタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
Q. ネット試験導入後、統一試験の受験者数はどう変化したか。
日本商工会議所の公表データを見ると、ネット試験導入後は年度あたりの受験者数でネット試験が統一試験を大きく上回る規模となっています。ただし統一試験も引き続き年3回実施されており、廃止されたわけではありません。
Q. 日商簿記2級の合格率はどの程度を目安にすればよいか。
直近のデータでは、統一試験がおおむね15%~24%程度、ネット試験がおおむね33%~38%程度で推移しています。ただし年や回によって変動するため、直近1回の数字だけでなく複数回分の傾向を参考にすることをおすすめします。
Q. 簿記2級の合格には何時間程度の学習が必要か。
簿記の学習経験がない場合、一般的に相応の学習時間が目安として語られていますが、教材や学習経験によって幅があります。まずは自分の生活スタイルに合わせて無理のない学習計画を立て、模試や過去問で進捗を確認しながら調整することをおすすめします。
まとめ
日商簿記2級は、ネット試験導入以降、受験者の中心が統一試験からネット試験へと大きくシフトしています。合格率は試験方式によって水準がやや異なりますが、いずれも年度・回によって変動するため、日本商工会議所が公表する最新データを確認しながら、自分に合った受験方式と学習計画を選ぶことが大切です。試験範囲そのものは方式による違いがないため、まずは基礎の理解と演習量の確保を優先し、受験方式は自分の生活スタイルに合わせて柔軟に選ぶとよいでしょう。

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