宅地建物取引士資格試験(宅建試験)は、毎年20万名を超える受験者が挑戦する国内最大級の国家資格試験の一つです。結論から言うと、近年の合格率はおおむね17%~19%程度で安定的に推移しており、合格に必要な得点(合格基準点)は年によって変動します。この記事では、試験を実施する一般財団法人不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表している公式データをもとに、受験者数・合格率の推移と合格基準点の決まり方を確認します。
宅建試験には年齢・学歴・実務経験等の受験資格の制限がなく、誰でも申し込むことができます。試験は例年10月に実施され、四肢択一式(マークシート方式)で50問が出題される2時間の試験です。一定の要件を満たして登録講習を修了した人は、5問が免除される45問での受験となります。この受験しやすさも、毎年20万名を超える受験者が集まる要因の一つと考えられます。
宅建試験の受験者数・合格率の推移(直近5年度分)
以下はRETIOが公表している直近5年度分のデータです(2026年9月時点で確認できる最新の公式発表)。
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 令和7年度(2025年) | 306,099名 | 245,462名 | 45,821名 | 18.7% |
| 令和6年度(2024年) | 301,336名 | 241,436名 | 44,992名 | 18.6% |
| 令和5年度(2023年) | 289,096名 | 233,276名 | 40,025名 | 17.2% |
| 令和4年度(2022年) | 283,856名 | 226,048名 | 38,525名 | 17.0% |
| 令和3年度(2021年・10月試験) | 256,704名 | 209,749名 | 37,579名 | 17.9% |
なお、令和3年度と令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、通常の10月試験に加えて12月にも追加試験が実施されました。上表では、通常の実施時期にあたる10月試験の結果を掲載しています。
データから読み取れる傾向
受験者数は増加傾向
受験者数は令和3年度の209,749名から令和7年度の245,462名まで、5年間で3万名以上増加しています。不動産業界での宅建士の必置規制や、他業種からのキャリアチェンジ、資産形成を目的とした受験者の増加などが背景として指摘されることがありますが、これらは一般的に語られる見方であり、RETIOが公式に増加理由を分析・公表しているものではない点に留意してください。
合格率はおおむね17~19%で安定
合格率は令和3年度以降、17.0%~18.7%の範囲に収まっており、大きな変動は見られません。宅建試験は合格率をあらかじめ固定するのではなく、上位から一定の得点(合格基準点)までを合格とする相対評価方式が採用されているため、受験者の得点分布によって合格基準点が毎年変動する仕組みになっています。
合格基準点(合格ライン)の推移
RETIOが公表している一般受験者(50問)の合格基準点は、直近5年度で以下のように推移しています。
| 年度 | 合格基準点(一般受験者・50問中) |
| 令和7年度(2025年) | 33点 |
| 令和6年度(2024年) | 37点 |
| 令和5年度(2023年) | 36点 |
| 令和4年度(2022年) | 36点 |
| 令和3年度(2021年・10月試験) | 34点 |
合格基準点は33点から37点までの範囲で毎年変動しており、50点満点中7割前後(35点前後)を一つの目安として学習を進めつつ、余裕を持って38点前後を狙える実力を身につけておくと安心です。
難易度の実態と学習のポイント
宅建試験は、権利関係(民法等)・宅建業法・法令上の制限・税その他の4分野から出題される4肢択一式の試験です。合格率は約17~19%で推移していますが、相対評価であるため、その年の受験者全体のレベルによって合格基準点が上下する点が特徴です。単年度の得点だけを目標にするのではなく、余裕を持った得点力を身につけておくことが望まれます。
不動産・金融分野の関連資格として、あわせて貸金業務取扱主任者試験の受験者数・合格率の推移まとめ|難易度をデータで確認の情報を確認しておくと、業務範囲の理解が広がります。
宅建業法は出題数が多く得点源にしやすい一方、権利関係は難易度が高い問題も出題されるため、宅建業法・法令上の制限で確実に得点し、権利関係で大きく失点しないバランスを意識した学習計画が有効とされています。
学習スケジュールを立てる際の考え方
出題数の多い宅建業法から着手して得点源を早めに固め、そのうえで法令上の制限・税その他の暗記系分野を効率よく仕上げ、最後に権利関係の理解を深めるという順序で学習を進める方法がよく紹介されています。過去問演習では、単に正解できたかどうかだけでなく、合格基準点に対してどの程度の余裕があるかを毎回確認しながら弱点分野を復習していくと、本番での得点のばらつきを抑えやすくなります。試験日は例年10月の第3日曜日に固定されているため、逆算して学習開始時期を決めやすい点も、計画を立てるうえでの利点です。
5問免除制度の活用も選択肢の一つ
宅地建物取引業に従事し、一定の要件を満たして国土交通大臣登録の講習(登録講習)を修了した人は、5問が免除された45問での受験が可能です。免除の対象となる分野や講習の実施スケジュールは実施機関によって異なるため、自分が対象となるかどうか、また講習の受講期限を早めに確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 宅建試験の合格基準点はどのように決まるか。
宅建試験は合格点があらかじめ固定されているわけではなく、その年の受験者全体の得点分布をもとに、上位から一定割合が合格となるよう合格基準点が決定される相対評価方式です。直近5年度では33点~37点(50点満点)の範囲で推移しています。
Q. 宅建試験の受験者数は今後も増えるか。
直近5年度のデータでは受験者数は増加傾向にありますが、将来の受験者数を確実に予測することはできません。RETIOが公表する最新の実施結果を随時確認することをおすすめします。
Q. 宅建試験の合格率が低いのはなぜか。
合格率が17~19%程度にとどまっているのは、相対評価方式によって合格者数が一定の範囲に絞られる仕組みになっているためです。出題範囲自体が極端に難解というよりも、上位一定割合のみが合格する試験設計であることが影響していると考えられます。
Q. 登録講習修了者と一般受験者では合格基準点が違うか。
RETIOの公表データでは、登録講習修了者(5問免除者)は45問中の得点で判定され、一般受験者(50問)とは別に合格基準点が示されています。両者の基準点は年度によって異なるため、自分がどちらの区分で受験するかを事前に確認しておくことが大切です。
不動産業界以外からの受験者も増えている
宅建士は不動産業を営む事業所ごとに一定割合の設置が義務付けられている資格であるため、不動産業界での需要は継続的にあります。加えて、金融機関や建設業、資産運用に関心のある個人など、不動産業以外の立場から宅建の知識を学ぶために受験する人も一定数いるとされています。受験者数の増加には、こうした業界を問わない受験ニーズの広がりも影響していると考えられますが、これも一般的に語られる見方であり、RETIOが公式に分析を公表しているものではない点にはあらためて留意してください。資格取得後の使い道が幅広いことも、宅建試験が長年にわたり高い人気を保っている理由の一つといえるでしょう。
まとめ
宅地建物取引士試験は、直近5年度で受験者数が増加傾向にある一方、合格率は17~19%程度で安定的に推移しています。相対評価方式により合格基準点は毎年変動するため、RETIOが公表する最新のデータを確認しながら、余裕を持った得点力を身につける学習計画を立てることが大切です。受験資格に制限がなく挑戦しやすい試験だからこそ、直近の合格基準点の推移を踏まえた現実的な目標設定を行うことが、遠回りに見えて合格への近道になるといえるでしょう。

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