法定雇用率を達成できていない企業に金銭的な負担を求める「障害者雇用納付金制度」。この記事では、対象となる企業の要件と、納付金・調整金の金額を整理します。
障害者雇用納付金制度とはどのような制度か
障害者雇用納付金制度は、障害者雇用促進法にもとづき、法定雇用率を達成していない事業主から納付金を徴収し、それを財源として、法定雇用率を達成している事業主に調整金・報奨金を支給する制度です。企業間の障害者雇用に関する経済的負担を調整する目的があります。
対象となる事業主と法定雇用率
納付金の対象となるのは、常用労働者の総数が100人を超える事業主です。現行の民間企業の法定雇用率は2.7%で、令和8年7月には2.5%から引き上げられる予定です。
納付金・調整金・報奨金の金額
| 区分 | 対象 | 金額(1人あたり月額) |
| 納付金 | 法定雇用率未達成の事業主(不足数分) | 50,000円 |
| 調整金 | 常用労働者100人超・雇用率達成の事業主 | 29,000円(超過人数が年120人月超は超過分23,000円) |
| 報奨金 | 常用労働者100人以下・雇用率達成の事業主 | 21,000円(超過人数が年420人月超は超過分16,000円) |
企業が対応すべきこと
常用労働者100人超の企業は、毎年の障害者雇用状況の報告にあわせて、納付金の申告が必要です。法定雇用率が段階的に引き上げられていく中で、単に納付金を払って済ませるのではなく、採用計画や職場環境の整備を通じて、法定雇用率の達成を目指す取り組みが重要になっています。
除外率制度との関係
一部の業種では、事業の性質上、障害者の就業が一般的に困難であるとされる部分を反映した「除外率制度」が設けられており、除外率相当の労働者数を法定雇用率の算定基礎から控除できます。ただし除外率は段階的に縮小される方向にあり、対象業種の企業も将来的な雇用率達成に向けた準備が必要です。
申告・納付の手続き
障害者雇用納付金の申告・納付は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対して行います。毎年度、常用労働者数や障害者雇用の実績を集計し、申告書を作成する必要があるため、人事担当部門では年間を通じた雇用状況の記録・管理体制を整えておくことが実務上重要です。
特例子会社制度との関係
障害者雇用を推進する手法の1つに、特例子会社を設立して集中的に障害者雇用を行う方法があります。特例子会社で雇用される労働者は、親会社を含めたグループ全体の実雇用率の算定に含めることができるため、グループ全体での法定雇用率達成を目指す企業に活用されています。
中小企業への配慮措置
障害者雇用促進法では、事業主の規模に応じた配慮も設けられており、常用労働者数が少ない中小企業ほど、法定雇用率の達成に向けた実務的なハードルが相対的に高くなりがちです。ハローワークや地域障害者職業センターでは、中小企業向けに障害者雇用に関する相談支援やノウハウの提供を行っており、こうした支援を活用することも有効です。
合理的配慮の提供義務との関係
障害者雇用促進法では、法定雇用率の達成とあわせて、事業主が障害のある労働者に対して合理的配慮を提供する義務も定められています。単に雇用率の数字を満たすだけでなく、働きやすい職場環境を整備することが、障害者雇用を継続的に成功させるうえで欠かせない視点です。
雇用率算定の対象となる労働者
法定雇用率の算定にあたっては、常用労働者として雇用されている障害者のうち、障害の程度や労働時間に応じて、算定上のカウント方法(1人としてカウントするか、0.5人としてカウントするか等)が細かく定められています。正確な雇用率を算出するには、こうしたカウントルールを正しく理解しておく必要があります。
Q. 常用労働者100人以下の企業には納付金の納付義務がありますか?
A. いいえ。納付金の対象は常用労働者100人を超える事業主です。ただし、100人以下の事業主でも雇用率を達成すれば報奨金の対象になります。
Q. 法定雇用率はどのように変わっていく予定ですか?
A. 段階的に引き上げが行われており、令和8年7月には2.5%から2.7%への引き上げが予定されています。今後の動向は厚生労働省の発表を確認することが必要です。
Q. 除外率制度とはどのような制度ですか?
A. 一部の業種について、法定雇用率の算定にあたり、対象労働者数から一定割合を除外できる制度です。ただし段階的に縮小される方向で見直しが進められています。
Q. 障害者雇用納付金の申告先はどこですか?
A. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対して、毎年度申告・納付を行います。
障害者雇用納付金制度は、法定雇用率の達成状況に応じて企業間で負担を調整する制度です。企業の認定制度については、別記事「くるみん認定・えるぼし認定とは?企業のメリットを解説」もあわせてご参照ください。

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