中小企業診断士試験の第2次試験は、第1次試験合格者を対象とした筆記試験(事例I~IV)と口述試験からなり、令和7年度(2025年度)の合格率は17.6%でした。結論から言うと、直近5年間の合格率は17.6%~18.9%とおおむね安定していますが、令和8年度試験からは口述試験が廃止されることが中小企業庁から公表されており、試験制度自体が大きな転換点を迎えています。この記事では中小企業診断協会が公表した公式データと、この制度変更のポイントを整理します。
第2次試験を受験するには、その年度または前年度の第1次試験に合格していることが必要です。第1次試験合格の有効期間は2年間とされており、1次試験に合格した年とその翌年の2回、2次試験にチャレンジできる仕組みになっています。この有効期間を踏まえてスケジュールを組むことも、学習計画を立てるうえで重要なポイントです。
中小企業診断士試験(2次)受験者数・合格率の推移
以下は中小企業診断協会が公表した第2次筆記試験結果を基にした直近5年間の推移です。本稿執筆時点(2026年9月)で、令和8年度の第2次試験(筆記試験は例年10月、結果発表は12月頃)はまだ実施・公表されていないため、確認できる最新のデータは令和7年度分です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 令和3年度(2021) | 8,757人 | 1,600人 | 18.3% |
| 令和4年度(2022) | 8,712人 | 1,625人 | 18.7% |
| 令和5年度(2023) | 8,241人 | 1,555人 | 18.9% |
| 令和6年度(2024) | 8,119人 | 1,516人 | 18.7% |
| 令和7年度(2025) | 7,044人 | 1,240人 | 17.6% |
データから読み取れる傾向
2次試験の日程は、例年10月に筆記試験、翌年1月頃に口述試験、1月下旬~2月上旬に最終合格発表という流れで実施されています。年度によって細かい日程は変わるため、受験を予定している人は中小企業診断協会が公表する最新の試験案内を確認してください。
合格率は18%前後で安定しているが、令和7年度はやや低下
2次筆記試験の合格率は令和3~6年度は18.3%~18.9%とほぼ横ばいで推移してきましたが、令和7年度は17.6%となり、この期間では最も低い水準でした。2次試験は記述式の事例問題で構成され、採点基準の詳細が公表されていないため、1次試験以上に「その年の相対的な位置づけ」で合否が左右されやすいとされています。単年度の低下だけを見て過度に身構える必要はありませんが、複数年の水準を踏まえて対策を立てることが望ましいと考えられます。
受験者数は令和4年度以降減少傾向
受験者数は令和4年度の8,712人をピークに、令和7年度は7,044人まで減少しています。第2次試験の受験者数は前年度の第1次試験合格者数に連動するため、1次試験の合格者数の推移とあわせて確認すると、受験者数の増減の背景を理解しやすくなります。
口述試験の位置づけと令和8年度からの制度変更
第2次試験は筆記試験合格者を対象に口述試験(面接形式)が実施され、最終合格者が決定します。口述試験は受験指導校などから「よほどのことがない限り不合格にはならない」試験だと説明されることが多く、実質的な合否の分かれ目は筆記試験にあるという見方が一般的です。ただし協会が口述試験の合格率を毎年数値として公表しているわけではないため、この点はあくまで受験指導校による経験則的な見方として理解しておく必要があります。
中小企業庁が公表した情報によると、令和8年度(2026年度)試験からは第2次試験における口述試験が廃止される予定です。あわせて、第1次試験の受験料が14,500円から17,200円に、第2次試験の受験料が17,800円から15,100円に改定され、試験全体の総費用は変わらない形で調整されるとされています。口述試験がなくなることで、筆記試験合格後のスケジュールや準備の進め方が従来と変わる可能性があるため、これから受験する人は中小企業診断協会・中小企業庁が公表する最新の試験案内を必ず確認してください。
2次試験のように筆記と面接・口述など複数段階で選抜を行う試験としては、公認会計士試験の受験者数・合格率の推移まとめ|短答式・論文式のデータで見る難易度も知られており、段階ごとの通過率を分けて確認する視点は共通して参考になります。
これから受験する人へのアドバイス
2次筆記試験は事例I(組織・人事)、事例II(マーケティング・流通)、事例III(生産・技術)、事例IV(財務・会計)の4事例で構成され、与件文の読解力と、限られた文字数で解答をまとめる記述力の両方が問われます。過去5年分の合格率がおおむね17%台後半~19%程度で推移していることを踏まえ、演習量だけでなく、模範解答例との比較を通じて「採点者に伝わる書き方」を身につける対策が有効だと考えられます。口述試験廃止という制度変更が予定されている年度に受験する場合は、最新のスケジュールと出願手続きの変更点を早めに確認しておくことをおすすめします。
事例IVは得点差がつきやすい科目とされる
4つの事例の中でも、事例IV(財務・会計)は経営分析・意思決定会計など計算問題の比重が高く、他の事例に比べて得点差がつきやすい科目だとされることが多くあります。1次試験の「財務・会計」の知識を土台としつつ、2次試験特有の出題形式(経営分析の記述、CVP分析、NPV計算など)に慣れておくことで、得点を安定させやすくなると考えられます。事例I~IIIについては、与件文中の根拠となる記述を見つけ、それを解答に反映させる「与件文に忠実な解答」を意識することが、多くの受験指導校で共通して勧められている基本方針です。
以下は、2次試験の受験計画を立てる際に確認しておきたいポイントの一覧です。
| 確認ポイント | 内容 |
| 1次試験合格の有効期間 | 合格した年度とその翌年度の2回、2次試験に挑戦できる |
| 事例ごとの得点バランス | 事例IVで大きく崩さないよう、計算問題の演習量を確保する |
| 与件文の読み込み | 設問要求と与件文の根拠を対応させる練習を繰り返す |
| 最新の試験制度 | 口述試験廃止など、受験年度の制度変更を早めに確認する |
よくある質問
Q. 中小企業診断士第2次試験の合格率はなぜ18%前後で推移しているか。
2次試験は記述式の事例問題で構成され、採点基準の詳細が公表されていないため、単純な絶対評価というよりも、その年度の受験者全体の中での相対的な位置づけが合否に影響しやすいとされています。結果として、直近数年は近い水準の合格率で推移しています。
Q. 口述試験は対策をしなくても合格できるか。
口述試験は面接形式で行われ、受験指導校などからは合格率が高い試験だと説明されることが多いですが、協会が公式に高い合格率を公表しているわけではありません。基本的なマナーや自分の解答内容を説明できる準備は必要だと考えられます。
Q. 令和8年度から口述試験がなくなるとのことだが、対策はどう変わるか。
中小企業庁の公表によれば、令和8年度試験から第2次試験の口述試験が廃止される予定です。あわせて第1次試験・第2次試験の受験料も改定されるとされています。ただし詳細な運用は試験年度の公式案内で確認する必要があるため、受験を予定している人は中小企業診断協会・中小企業庁の最新情報を必ずチェックしてください。
まとめ
中小企業診断士第2次試験の合格率は、直近5年間で17.6%~18.9%の範囲でおおむね安定して推移してきました。受験者数は1次試験の合格者数に連動して増減するため、両者をセットで確認すると全体の傾向がより見えやすくなります。一方で令和8年度からは口述試験の廃止という大きな制度変更が予定されており、これから受験する人は筆記試験対策に加えて、中小企業診断協会・中小企業庁が公表する最新の試験制度・スケジュールの確認を怠らないようにすることが重要です。

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