海外の取引先とドル建てやユーロ建てで取引をしている会社では、決算のたびに「為替差損益」という聞き慣れない勘定科目に頭を悩ませることがあります。外貨建取引をいつ、どのレートで円換算するかによって、損益計算書に計上される金額が変わってきます。
外貨建取引の円換算の基本
外貨建取引は、原則として取引が発生した時点の為替相場(電信売買相場の仲値など)により円換算して記帳します。この方法を「発生時換算法」と呼びます。輸出入取引や外貨建てでの経費支払いなど、日々の取引はこの発生時のレートで処理するのが基本です。
決算時の外貨建金銭債権債務の換算
| 項目 | 取り扱い |
| 外貨預金・外貨建売掛金・外貨建買掛金など(短期) | 原則として決算時の為替相場(期末時換算法)により円換算 |
| 棚卸資産や固定資産など非貨幣性資産 | 取得時の為替相場のまま据え置き(換算替えを行わない) |
| 為替予約を付している場合 | 振当処理など一定の要件のもとで為替予約レートによる処理が可能 |
決算日において外貨建ての金銭債権債務(売掛金、買掛金、借入金、外貨預金など)を保有している場合、原則として決算時の為替相場により円換算し直します。この換算替えによって生じる差額が「為替差損益」として計上されます。一方、棚卸資産や固定資産のような非貨幣性資産は、取得時の為替相場のままとし、決算時に換算替えを行わないのが原則です。
為替差損益の税務上の取り扱い
決算時の換算替えによって生じた為替差損益は、原則として税務上も損金または益金として認識されます。ただし、為替予約を利用している場合など、一定の要件を満たす取引については、実際の資金決済時までの差損益を繰り延べる処理(振当処理)が認められる場合があります。為替変動の影響を受けやすい会社では、為替予約やヘッジ取引の活用状況にあわせて、経理処理の方針をあらかじめ整理しておくことが望まれます。
よくある質問
Q. 中小企業でも決算時の為替換算は必ず必要か。
A. 外貨建ての金銭債権債務を保有している場合は、企業規模を問わず、決算時の換算替えが必要です。外貨預金や外貨建ての未収金・未払金がないか、決算前に確認しましょう。
Q. 為替差損益はどの勘定科目で計上するのか。
A. 一般的には営業外損益(為替差益・為替差損)として計上します。ただし、会社の会計方針によって取り扱いが異なる場合があるため、顧問税理士に確認してください。
Q. 決算時のレートはどこで確認すればよいか。
A. 主要取引銀行が公表する電信売買相場(TTM)を用いるのが一般的ですが、継続適用を前提に、どのレート・時点を採用するかを社内ルールとして決めておくことが望まれます。
為替予約を利用する場合の考え方
為替変動リスクをヘッジするために為替予約を利用している場合、一定の要件を満たせば、対象となる外貨建取引について、為替予約時のレートで換算する「振当処理」が認められます。振当処理を採用すると、決算時までの為替変動による損益を、実際の決済時まで繰り延べることができ、期間損益が為替相場の変動に左右されにくくなるというメリットがあります。ただし、振当処理の適用には一定の要件があるため、為替予約を新たに導入する際は、経理処理の方針とあわせて税理士に確認することが望まれます。
まとめ
外貨建取引の会計処理は、発生時と決算時とで換算方法が異なる点を理解し、為替差損益の計上を正しく行うことが決算精度の向上につながります。国外事業者との取引にかかる消費税の処理については、別記事「リバースチャージ方式とは?国外事業者からのデジタルサービス購入の消費税処理」もあわせてご確認ください。

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