パート従業員から「社会保険に入ると手取りがどれくらい減るのか」と聞かれた際、単に「保険料が引かれます」と答えるだけでは納得してもらいにくいものです。手取りの変化だけでなく、将来の年金額や傷病手当金などの保障面も含めて説明できるよう、考え方を整理しておきましょう。
社会保険加入で発生する主な負担
厚生年金保険・健康保険に加入すると、標準報酬月額にもとづいて計算された保険料の本人負担分(おおむね賃金の15%前後)が給与から控除されるようになります。加入前は本人負担がなかった国民年金第3号被保険者・被扶養者だった人にとっては、この保険料負担が新たに発生することが、手取りが減ると感じられる主な要因です。
| 状態 | 手取りへの影響 | 主なメリット |
| 加入前(被扶養者等) | 社会保険料の本人負担なし | 保険料負担がない一方、将来受け取る年金は国民年金(基礎年金)のみ |
| 加入後 | 賃金のおおむね15%前後が保険料として控除される | 厚生年金の上乗せ、傷病手当金・出産手当金の対象、労使折半で保険料が抑えられる |
手取りだけでなく保障の面も確認する
社会保険に加入すると、将来受け取る年金が国民年金(基礎年金)に厚生年金が上乗せされる形になり、老後の年金額が増えます。また、健康保険の被保険者になることで、病気やけがで長期間働けなくなった場合の傷病手当金や、出産のために休業した場合の出産手当金を受け取れるようになる点も、加入前にはなかった保障です。目先の手取り額の減少だけで判断するのではなく、こうした保障の違いもあわせて説明することが望まれます。
「壁」を意識しすぎたシフト調整のリスク
106万円の壁の撤廃など制度が変化する中、年収や労働時間を細かく調整して社会保険加入を避けようとすると、かえって本人の働き方の自由度を狭めてしまうことがあります。会社としては、パート従業員がどのような働き方を望んでいるかを丁寧にヒアリングしたうえで、シフトの組み方や労働時間の設定について相談に応じる姿勢が求められます。
よくある質問
Q. 社会保険に加入すると、雇用保険にも同時に加入することになるのか。
A. 社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険は、それぞれ別の制度であり、加入要件も異なります。雇用保険は週の所定労働時間が20時間以上であることなどが要件であり、社会保険の加入要件と必ずしも一致しないため、それぞれ個別に確認が必要です。
Q. 一度社会保険に加入すると、その後扶養に戻ることはできないのか。
A. 労働時間や賃金が要件を下回るようになった場合など、状況の変化によっては、あらためて被扶養者に戻ることも可能です。ただし、その都度手続きが必要になります。
Q. 社会保険料は会社と本人でどのように分担するのか。
A. 健康保険・厚生年金保険の保険料は、原則として労使折半(会社と本人が半分ずつ負担)です。会社が保険料の半分を負担することも、社会保険加入のメリットのひとつといえます。
まとめ
106万円の壁の撤廃によって、社会保険加入の判断基準は年収から労働時間中心へと変わっていきます。あわせて別記事「106万円の壁撤廃後、年収はいくらから社会保険に入る?週20時間要件をケース別に確認」もご確認ください。

コメント