2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金は、都道府県ごとに地方最低賃金審議会の答申が出そろい、10月以降、地域によって異なる時期に順次発効する見通しとなっています。この記事では、北海道・東北地方の7道県(北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)を対象に、2026年度の答申額や引き上げ幅、発効予定日をまとめて解説します。掲載している金額は、記事作成時点(2026年9月)で各都道府県の地方最低賃金審議会が答申した額であり、正式決定・官報公示前の情報です。異議申し出などの手続きを経て内容が変わる可能性もあるため、最終的な金額は厚生労働省や各都道府県労働局の公式発表でご確認ください。
2026年度の最低賃金改定はどのように決まるのか
中央最低賃金審議会の目安と地方審議会の答申
毎年の地域別最低賃金は、まず中央最低賃金審議会が全国の都道府県をA・B・Cの3ランクに分けたうえで引き上げ額の目安を示し、これを受けて各都道府県の地方最低賃金審議会が、地域の実情を踏まえて実際の引き上げ額を答申するという二段階の手続きで決まります。2026年度は、2026年7月28日に中央最低賃金審議会が全国加重平均の目安を1,176円(+55円)と示しており、これをもとに各都道府県で審議が行われました。
「答申」と「正式決定」の違いに注意
地方最低賃金審議会が示す「答申」は、あくまで審議会としての意見であり、その後、異議申し出などの手続きを経て、都道府県労働局長が正式に決定し、官報で公示されることで初めて法的な効力を持つ最低賃金額が確定します。答申された金額がそのまま正式決定されるケースが大半ですが、記事作成時点ではまだ正式決定・官報公示前の道県も含まれるため、本記事では「答申額」という表現で紹介しています。
北海道・東北7道県の最低賃金一覧
以下は、北海道・東北地方7道県における2025年度(令和7年度)の現行額と、2026年度(令和8年度)の答申額、引き上げ額、発効予定日をまとめたものです(記事作成時点の答申情報にもとづきます)。
| 都道府県 | 2025年度額 | 2026年度答申額 | 引上額 | 発効予定日 |
| 北海道 | 1,075円 | 1,131円 | +56円 | 10月1日 |
| 青森県 | 1,029円 | 1,090円 | +61円 | 10月29日 |
| 岩手県 | 1,031円 | 1,090円 | +59円 | 12月1日 |
| 宮城県 | 1,038円 | 1,098円 | +60円 | 10月1日 |
| 秋田県 | 1,031円 | 1,090円 | +59円 | 10月14日 |
| 山形県 | 1,032円 | 1,092円 | +60円 | 10月30日 |
| 福島県 | 1,033円 | 1,094円 | +61円 | 10月16日 |
東北地方で目立つ動き
東北地方では、青森県・福島県が中央最低賃金審議会の目安を5円上回る+61円の答申となったほか、秋田県も目安を3円上回る+59円の答申となるなど、目安を上回る引き上げが目立ちました。一方、岩手県では、労使の合意により発効日を12月1日に遅らせることで、審議会委員の全会一致による答申となったと報じられています。同じ東北地方の中でも、引き上げ幅や発効日の考え方に道県ごとの違いがあることがうかがえます。
地域内でも発効日が大きく異なる点に注意
最短は10月1日、最長は12月1日
北海道・東北7道県の中では、発効予定日が最も早いのは北海道と宮城県の10月1日で、最も遅いのは岩手県の12月1日となっています。同じ東北地方の中でも、発効日には2か月ほどの差があるため、「10月になったら一斉に金額が変わる」と考えていると、対応が遅れてしまう可能性があります。
企業が確認すべき実務対応
複数の道県に事業所を持つ企業では、それぞれの事業所が所在する都道府県の発効日と金額を個別に確認し、給与計算や勤怠管理システムの設定を、発効日に合わせて更新しておく必要があります。発効日をまたぐ給与計算期間がある場合は、発効日の前後で日ごとに新旧の最低賃金額を分けて計算する必要がある点にも注意が必要です。パート・アルバイトの募集要項や求人票に時給を記載している場合は、発効日にあわせた更新も忘れないようにしましょう。
引き上げへの対応に活用できる支援策
業務改善助成金などの活用を検討する
最低賃金の引き上げに伴う人件費の増加に対応するため、生産性向上のための設備投資などを行う中小企業・小規模事業者を対象に、国は「業務改善助成金」などの支援策を用意しています。制度の対象要件や助成額は年度によって見直されることがあるため、活用を検討する場合は、最新の公募要領を厚生労働省や労働局の公式サイトで確認するか、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
最低賃金に関する基本知識のおさらい
パート・アルバイトを含むすべての労働者が対象
最低賃金は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員・試用期間中の労働者など、雇用形態にかかわらずすべての労働者に適用されます。「短時間勤務だから」「試用期間中だから」といった理由で最低賃金を下回る賃金を支払うことは、最低賃金法に違反することになるため注意が必要です。
最低賃金を下回った場合のリスク
最低賃金額を下回る賃金しか支払っていなかったことが判明した場合、使用者は差額を遡って支払う義務を負うほか、最低賃金法違反として罰則の対象となる可能性もあります。北海道・東北地方でも、道県ごとに新しい最低賃金額が発効した後は、パート・アルバイトを含めた全従業員の時給が新しい金額を上回っているかどうかを、あらためて確認することが大切です。
自社の事業所がある道県の情報をどこで確認するか
最終的に正式決定・官報公示された最低賃金額は、厚生労働省のホームページや、各道県を管轄する労働局のホームページで確認できます。北海道・東北地方に事業所がある企業や、これから働き先を探す方は、答申段階の金額を参考にしつつ、正式決定の発表が出た際にあらためて公式情報を確認することをおすすめします。
まとめ
北海道・東北地方の7道県では、2026年度の最低賃金についていずれも答申が出そろい、引き上げ額はおおむね56円から61円の範囲、発効予定日は10月1日から12月1日までと道県によって幅があります。答申された金額は、今後の正式決定・官報公示によって最終的に確定するため、自社の事業所がある道県の最新情報を、厚生労働省や各都道府県労働局の公式発表で確認しながら、給与計算や実務対応の準備を進めることをおすすめします。

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