「育休を取ると手取りが1割減ると聞いていたのに、10割相当になるという話を耳にした」という質問を、給与計算担当者や従業員本人から受けることが増えています。これは2025年4月に新設された「出生後休業支援給付金」の影響です。既存の育児休業給付金にどのような給付が上乗せされるのか、実務担当者が押さえておきたいポイントを整理します。
出生後休業支援給付金の基本的な仕組み
育児休業給付金は原則として休業開始時賃金日額の67%(休業開始から181日目以降は50%)が支給されます。出生後休業支援給付金は、これに加えて一定の要件を満たした場合に13%相当を上乗せする制度です。67%に13%を足すと80%となり、雇用保険から控除される保険料や税、社会保険料免除の効果とあわせて考えると、休業前の手取り賃金の10割相当に近づく、という設計になっています。
上乗せを受けるための主な要件
上乗せの対象となるには、被保険者本人だけでなく、原則としてその配偶者も一定期間の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得していることが求められます。夫婦のどちらか一方だけが休業を取得するケースでは対象外となる場合があるため、社内での育休取得の呼びかけ方によっては、この給付金の対象になるかどうかが変わってくる点に注意が必要です。ひとり親家庭など、配偶者の育休取得を求めることが実情に合わないケースについては、別途の取り扱いが設けられています。
| 項目 | 内容の目安 |
| 開始時期 | 2025年4月1日以降に開始する育児休業から対象 |
| 給付率 | 通常の67%に13%相当を上乗せ(実質80%相当) |
| 対象期間 | 子の出生後一定期間内の休業が対象(期間には上限あり) |
| 主な要件 | 本人・配偶者の双方が一定日数以上の育休等を取得していること |
実務上、社内で確認しておきたいこと
給与計算や労務管理の担当者としては、まず自社の育児休業申出のフローの中で、配偶者側の休業取得状況をどのように確認するかを決めておく必要があります。ハローワークへの支給申請時に必要となる書類や記載事項は、通常の育児休業給付金の手続きに一部項目が追加される形になるため、申請書の様式を最新のものに更新し、担当者間で申請漏れが起きないよう共有しておくことが望まれます。
よくある質問
Q. 出生後休業支援給付金は、育児休業給付金とは別に申請する必要があるか。
A. 育児休業給付金の支給申請の中であわせて要件を満たすかどうかが判定される仕組みが基本ですが、申請時に必要な情報や書類が追加される場合があるため、ハローワークの最新の案内や様式を確認したうえで手続きを進めることが望まれます。
Q. 配偶者が働いていない場合や、ひとり親の場合はどうなるか。
A. 配偶者が就業していない、またはひとり親であるなど、配偶者による休業取得を前提とすることが実情に合わない場合には、別途の取り扱いが設けられています。個別のケースについては、ハローワークまたは社会保険労務士に確認することをお勧めします。
Q. 「手取り10割相当」とは、額面の給与と同額が支給されるという意味か。
A. 額面の給与そのものが支給されるわけではありません。育児休業給付(67%+上乗せ13%)に加え、休業中の社会保険料免除や、給付金が非課税であることなどを踏まえて試算すると、手取りベースでおおむね休業前と同水準になる、という考え方です。
まとめ
出生後休業支援給付金は、夫婦での育休取得を後押しする目的で新設された給付です。対象となる休業の範囲や要件は、産後パパ育休を含む出生時育児休業給付金の仕組みと密接に関係しているため、あわせて別記事「出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金、両方もらえる?産後パパ育休の給付を整理」もご確認ください。

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