労働基準監督署の調査でまず確認されるのが、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のいわゆる「法定三帳簿」です。日常業務では意識する機会が少ない書類ですが、記載事項の不備や保存期間の管理ミスが、調査の際に指摘される典型的なポイントになっています。
法定三帳簿とは
労働基準法では、労働者名簿、賃金台帳、そして出勤簿(タイムカード等の労働時間の記録)の3つの帳簿の作成・保存が事業主に義務付けられており、これらをまとめて「法定三帳簿」と呼びます。労働者名簿には氏名・生年月日・従事する業務の種類・雇入年月日等を、賃金台帳には賃金計算期間・労働日数・労働時間数・基本給や手当の額等を記載する必要があります。
| 帳簿 | 主な記載事項 | 保存期間の目安 |
| 労働者名簿 | 氏名、生年月日、履歴、従事する業務の種類、雇入・退職年月日等 | 労働者の退職等の日から起算して一定期間 |
| 賃金台帳 | 賃金計算期間、労働日数、労働時間数、基本給・手当額、控除額等 | 最後の記入をした日から起算して一定期間 |
| 出勤簿(労働時間の記録) | 始業・終業時刻、休憩時間等 | 完結の日から起算して一定期間 |
保存期間は段階的に延長されている
労働基準法上の記録の保存期間は、従来3年とされていましたが、賃金請求権の消滅時効の延長にあわせて5年(当分の間は経過措置として3年)に延長されています。保存期間の起算日は帳簿の種類ごとに異なるため、自社が使用している労務管理システムや紙の帳簿の保管ルールが、最新の保存期間に対応しているかを確認しておく必要があります。
調査で指摘されやすいポイント
労働基準監督署の調査では、賃金台帳に記載すべき事項(時間外労働の時間数、深夜労働の時間数など)が漏れていたり、出勤簿とタイムカードの記録が一致していなかったりすることが、是正勧告の対象として指摘されやすいポイントです。給与計算ソフトから出力される帳票が、法定三帳簿として求められる記載事項をすべて満たしているかを、一度確認しておくことをお勧めします。
よくある質問
Q. 法定三帳簿は紙で保存しなければならないのか。
A. 一定の要件(画面への表示や印刷が必要に応じて速やかにできることなど)を満たせば、電磁的記録(データ)による保存も認められています。紙での保存が必須というわけではありません。
Q. パートタイム労働者についても労働者名簿や賃金台帳の作成は必要か。
A. 日々雇い入れられる者を除き、パートタイム労働者を含むすべての労働者について、労働者名簿・賃金台帳の作成・保存が必要です。
Q. 保存期間が過ぎた帳簿は、破棄しなければならないのか。
A. 保存期間経過後の破棄が義務付けられているわけではありませんが、個人情報の適切な管理の観点から、不要になった記録を計画的に廃棄する社内ルールを設けておくことが望ましいとされています。
まとめ
労働条件に関する書類の整備という点では、就業規則の周知義務も重要なテーマです。あわせて別記事「就業規則の周知義務、周知していないと就業規則自体が無効になる?」もご確認ください。

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